人間関係のベースは家庭内での助け合い

私たちがどのようなことに取り組んでいけば、この幸福度格差はなくなるのでしょうか? そのカギは、「人とのつながり」「温かい人間関係」にあります。

日本の幸福度格差にはもちろん、現代日本が抱える社会構造の問題も影響していることは間違いありません。しかしながら、社会構造を変えるのは、とてつもない時間や労力を要することになります。

そんな中で、「私たちが日常でできる取り組みは何か?」と考えたときに、大きなヒントとなるのが宮崎県の夫婦間における家事に対する認識だと思います。

都道府県別「幸福度ランキング」1位の宮崎県を取材したところ、夫婦間で家事の分担がよくされているという印象を強く受けました。家族で、夫婦で助け合っている家庭が非常に多いのです。

大人たちが「助け合う姿」を示そう

そして、幸福度格差をなくしていくうえで最も重要だと感じるのが、「その夫婦間の姿を子どもが見ている」という点です。

星 渉、前野隆司『99.9%は幸せの素人』(KADOKAWA)

そこには、「男性だから」「女性だから」という思い込みなどなく、家族・夫婦は互いに助け合うのが当たり前──という思考が、小さいときから根付いている。そうした子どもが大人になり、家庭を作れば、互いに支え合う家庭がまた増えていくことになります。

こうした“よい循環”が、小さな力かもしれませんが、今すぐにできる日本の幸福度格差を解消する取り組みの1つになるのではないでしょうか。

つまりは、われわれ大人が、助け合う姿を子どもたちに見せていくのです。

ひと昔前の日本では当たり前のように思えた光景が、案外、これからの日本の幸福度を左右するように私には思えてなりません。宮崎県の事例からも、フィンランドの「相互協力が幸福度世界1位の秘訣」とするレポートからも、その方向はあながち間違いではないのではないと考えますが、あなたはどう感じましたか?

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