極限の体験で掴んだ「死生観」が、自分を支える杖になっている

もとより、こう述べる筆者自身は、いまだ一人の経営者としても、一人の人間としても、修行中の身であるが、あの「生死の病」の体験を通じて「死生観」を掴ませて頂いたことが、それからの人生で、様々な危機や逆境において自身を支える大きな杖となっている。

田坂広志『運気を引き寄せるリーダー 七つの心得』(光文社新書)
田坂広志『運気を引き寄せるリーダー 七つの心得』(光文社新書)

しかし、こう述べてくると、あなたは、このように思われるかもしれない。

「戦争の体験をしたそれらの経営者や、大病の体験をした田坂さんは、
その生死の体験を通じて、死生観を定めることができたかもしれないが、
そうした体験を持たない自分には、死生観を定めることは難しい」

たしかに、あなたが、そう思われる気持ちは、理解できる。筆者自身も、あの大病が与えられるまでは、「死生観」を定めることはできなかったのだから。

しかし、それでも、やはり申し上げたい。

我々は、戦争や大病の体験を持たなくとも、
深い「死生観」を定めることはできる。

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