駅伝王者・駒大は「部員の逮捕」を乗り越え、勇敢に戦い続けている
今回の逮捕はチームメイトにどのような影響を及ぼすだろうか。
駒大は20年の全日本大学駅伝と21年正月の箱根駅伝を制した駅伝王者だ。その勢いのまま、今季はトラック種目でも快進撃を見せている。5月3日の日本選手権10000mでは田澤廉(3年)が27分39秒21で2位、鈴木芽吹(2年)が27分41秒68で3位に入る大健闘。ともに自己ベストを大幅に更新して、日本人学生歴代で2位と3位の記録を叩き出した。
石川逮捕後の5月20~23日には関東インカレが行われた。10000mにエントリーされていた石川は欠場したが、他の選手については、大学側と関東学連が確認し、出場が許可された。しかし、大八木弘明監督は関東学連の了承を得て、大会の帯同を自粛している。大会当日は藤田敦史ヘッドコーチが指揮した。
駒大は2部だが、創価大、青学大、帝京大、國學院大、東京国際大などの強豪校がひしめいており、長距離種目のレベルは1部とそん色はない。そのなかで初日のハーフマラソンでは花尾恭輔(2年)が2位、佃康平(4年)が7位、山野力(3年)が9位と箱根Vメンバーがしっかりと結果を残した。
トラック種目では昨季の学生駅伝に出場することができなかった唐澤拓海(2年)が10000mと5000mで日本人トップの3位。5000mでは鈴木が4位に入っている。エース田澤を温存したかたちになったが、駒大は2部の長距離3種目でダントツの強さを見せつけた。
「熾烈な“椅子取りゲーム”」不祥事を好機に変える逞しさがある
今大会、目覚ましい活躍を見せた唐澤は、「ハーフで先輩方が良い流れを作ってくださったので、レースに集中することができました。箱根王者として最低でも日本人トップはとらないといけないと思ったので素直にうれしいです」と10000mのレース後に話していた。今季は5000m(13分40秒90)と10000m(28分02秒52)で自己ベストを大幅に更新しており、箱根駅伝に出場できなかった悔しさを力に変えている。
学生駅伝の出走数は出雲が6人、全日本が8人、箱根が10人。駒大の長距離部員は選手だけで約50人(マネージャーは除く)。大会の度に熾烈な“椅子取りゲーム”が繰り広げられている。
もし石川が不在となれば、メンバー入りを目指す選手にとっては貴重な1枠が空く。関東インカレの戦いを見ている限り、駒大の選手たちは4年生の不祥事を好機に変えるような“たくましさ”があるように感じた。今後、チームは厳しい言葉が浴びせられる可能性もあるが、駅伝王者・駒大には“真の強さ”を見せ続けてくれることを期待したい。