箱根駅伝で劇的な逆転優勝した駒大アンカー21歳の「日常」
ヒーローから一転、容疑者に……。
今年の正月の箱根駅伝10区で大逆転を演じた駒澤大学・石川拓慎(4年・21歳)の逮捕にスポーツ界が揺れている。
各社報道によると、石川は2020年12月20日と2021年1月17日、神奈川県相模原市の女子生徒が18歳未満と知りながら、ホテルでみだらな行為をした疑いが持たれている。
2人は20年10月下旬、マッチングアプリで知り合ったという。石川は調べに対し、「少女が高校に通っていることは知っていたが18歳だと聞いていた」と供述。さらに「交際をしていた」とも話している。2人の主張は食い違っているが、神奈川県の青少年保護育成条例違反での逮捕だった。
20年以上陸上競技を取材してきた筆者としては、石川が警察官に連行されるニュース映像はショッキングだった。いったい箱根駅伝のヒーローに何があったのか。
箱根駅伝を取り巻く環境に原因があった可能性もある
あらかじめ断っておくが、石川を擁護するつもりはない。その上で言いたいのは、今回の事件は箱根駅伝を取り巻く環境にも原因があった可能性が否定できないということだ。
これまで多くの大学を取材してきた中で、駒大陸上競技部の比重は大きい部類に入る。同部の「道環寮」にも何度も行ったことがある。2017年に完成した新寮は最寄り駅から少し離れているとはいえ、緑も多い世田谷区の閑静な住宅街にある。ケアルームやサウナも完備されており、他大学と比べても非常に恵まれた環境だ。
箱根駅伝を目指す選手たちは、朝6時頃からの練習で12kmほど走り、昼間は授業に出席。夕方から本練習(多い日は30kmほど走る)を行う。平日はスケジュールが詰まっており、土日も練習の疲労で遊びに行く余裕はあまりない。ほとんどのチームには門限があり、駒大は大八木弘明監督夫人である京子さんが栄養バランスのとれた食事を提供している。
寮生活は慣れてしまうとまずまず快適で競技にも集中できる。しかし、どの大学も相部屋(主に2人部屋)が基本。ひとりで部屋を占領できる時間はさほどない。当然、ストレスはたまってくる。21歳の健全な青年が欲求不満にならないほうがおかしいだろう。