性的同意などについてアップデートされていない日本

また、長期間受けていた被害にもかかわらず、時効を理由に起訴できたのは1件だった。幼いときに受けた被害は、被害と認識するまで時間がかかる。また家庭内での被害はさらに届け出ることが難しい。被害から身を守るため、乖離状態になることも少なくない。必死に生き延びてきたからこそ被害に対しての日時や場所が曖昧になるにもかかわらず、このような判決が出たことは、日本の現刑法の問題を浮き彫りにしている。

フランスの作家ヴィルジニー・デパントは自身のレイプ被害も綴ったエッセイ『キングコング・セオリー』で「警察でレイプ被害を申告することは危険に身をさらすことだと本能的に感じていた。警察どもの法律は男の法律だ」と綴っている。110年以上も前にできた刑法から性的同意などについてアップデートされていない日本も同じことが言える。被害が認められても無罪になる場合があるのだから。まるで、性犯罪が許されているかのように。

「本物の勇気とは新しいものに向き合うことだ。可能性に。より良いものに」。私はこのデパントの言葉に深く共感する。現在、刑法改正の検討委員会が開かれているが、検討委員らが変化を恐れず、より良い方向へ踏み出せるか問われている。

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