靴を磨き続ける一流ビジネスパーソンとの出会い

そんな中で、出会ったのが京セラの山口悟郎会長です。

山口会長のオフィスで靴を磨かせていただいた時、靴磨きを広げたいという私の話に、会長は、「靴を磨かない人がそんなにいるとは思わなかった」とおっしゃっていました。会長は入社1年目から靴磨きを欠かしたことがなく、「靴は磨いて当然」という感覚なのです。

会長室で山口会長(中央)の靴磨きをする濱岡さん(左)
写真=筆者提供
京セラ本社で山口会長(中央)の靴磨きをする濱岡さん(左)

「足元はその人の信用の証し。ぼくは仕事のときは必ずその人の足元を見る。足元の汚い人間はまず仕事もできない」とおっしゃって、靴を磨くことがビジネスにいかにプラスになるかを、かつて営業で駆け回っていた経験を引きながら話してくださいました。

磨き終わった山口会長の靴
写真=筆者提供
磨き終わった山口会長の靴

私はそれを伺って、「こういう一流の方が実践されているのを見ても、『靴を磨く』という習慣はやはりすばらしいことなのだ」と再認識しました。一流のビジネスパーソンの方は靴を当然のように、習慣として磨いているのです。

「今こそ、自分の足元を見直す絶好の機会だ」

コロナ禍で始めた「出張靴磨き」は経営者の方々から、企業にもじわじわと広がっています。とある保険会社の社員向けセミナーでお話をする機会をいただきました。社長さんは「『足元は営業の基本』と言います。若い社員にそういうことを伝えてください」とおっしゃっていました。

思い返すと私の父も「営業の基本や」と言いながら、よく靴を磨いていたものです。そして社長さんは、こう話を続けました。

「保険会社では今、コロナ禍で家を訪問することができなくなり、営業の社員たちが悩んでいます。ですからあなたの、『コロナ禍で店を失い仕事もなくなった中で、こうやって出張靴磨きに切り替えてがんばっています』という話は、きっと刺さると思います」

コロナ禍で気軽に人に会えなくなりました。セミナーでお話した営業職の方々も、大変な状況に置かれています。さらに世間では在宅勤務が一般化し、「革靴はいらない」という風潮も出てきています。が、むしろ人に会えない今こそ、自分の足元を見直す絶好の機会なのだと確信しました。