4月25日に行われた3補選で全敗した日の夜、党本部で林幹雄幹事長代理はこういったという。

「コロナ対策とワクチンの遅れ、そして、総務省接待問題がきつかったよ」

案の定、菅首相は5月7日、東京、大阪など4都府県に愛知、福岡を加えて緊急事態宣言の5月末までの延長を決めた。

デパートやテーマパークなどの営業は8時までの時短要請に緩和したが、東京都は独自の対策で大型商業施設や遊技場などへの休業要請を続けている。プロ野球も観客を5000人まで入れることができるが、飲食店の酒の提供は引き続き認めないという。居酒屋難民の苦難はまだまだ続く。

選手用ワクチンが突如浮上

今回の延長期間を1カ月にという要望もあったようだが、それでは五輪開催が危うくなると菅首相は考えたのだろう。

菅首相が五輪開催に固執する理由は、五輪の余韻が冷めないうちに衆議院を解散して総選挙を行い、何とか自民党の議席を現状維持して、自身の再選につなげたいという思惑からである。

国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長の狙いもはっきりしている。カネ儲けのためである。

ワシントン・ポスト電子版(5月5日付)のコラムは、バッハを「ぼったくり男爵」と呼び、「開催国を食い物にする悪癖がある」「ライセンスによる収益や放映権料を得る一方で、日本に巨額な費用のかかる過剰な要求をしている」と酷評し、パンデミック下での五輪は中止したほうがいいと報じた。

五輪のオフィシャルパートナーになっている大新聞は「中止」などと大声ではいえず、腑抜けたままだが、スポーツニッポン(5月7日付)は一面全面を使って、「『ぼったくり男爵』最後の一手 五輪強行ワクチン」と報じた。

IOCが五輪に参加する各国・地域の選手団だけにワクチンを提供すると発表したことに、噛みついたのである。

なりふり構わずバッハは五輪を強行しようとしているが、日本国内のワクチン接種が進んでいないのに、アスリートだけが特別扱いを受けることに、国民からの批判は避けられないと書いている。

五輪に参加するのはアスリートだけではない。万を超える関係者たちはどうするのか。17日の来日は延期となったが、バッハ会長にはぜひ問いたいものだ。