こうしたらいい。居酒屋で飲めるのは2人までにする。テーブル席には並んで座ってもらう。テレビは音を消してつけておく。こうすれば大声で話す必要はなく、一人客も静かに飲めてありがたい。
酒は泪かため息か、心の憂さの捨て所である。今のご時世、憂さが溜まって爆発寸前の人間が多い。私もその一人だ。暴発しないように、戸を少し開けて、風通しをよくしておいてやるのは、為政者の知恵というものである。
私は落語も好きだ。今回の緊急事態宣言下でも、寄席は「こういう時こそ笑いが必要」だと、感染防止策をとって続けてきた。だが、都からの事実上の休業命令で、泣く泣く休まざるを得なくなってしまった。
橋下徹が大阪市長だったとき、文楽の助成金をカットしたことがあったが、あれに匹敵する“愚策”である。
「期間は短くするべき」首相と厚労相が対立
緊急事態宣言がこれほど厳しくなったのは、菅首相も小池都知事も、東京五輪開催が最優先だからである。
3度目になる緊急事態宣言発令に際して4月21日、官邸で関係閣僚や事務方が集まって協議する場で、「期間は短くするべきだ」と菅首相が主張したと週刊文春(5/6・13日号)が報じている。
だが当然ながら、あまりに期間が短いと感染者が減らず、宣言解除できなくなる。そこで田村憲久厚生労働相が「絶対にそんなことはダメです」と抵抗して、ほんの少しだけ期間が延びたそうである。
だがその2日後にも、菅首相は突然、「7月末に高齢者のワクチン接種を完了させる」といい出した。実現不可能なミッションを突き付けられた河野太郎ワクチン接種担当相は激高して首相に直談判し、「できるわけがありません」といったそうだ。
菅首相は、ファイザーのワクチンは9月までに国民全員に行き渡ると豪語したが、これもウソに終わった。それが知られると今度は、まだ日本では承認されていないモデルナのワクチンを使うといい出したのである。
週刊文春のいうように菅首相は、専門家の意見に耳を傾けたり、データを精査したりすることなく、思い付きでいうだけなのだろう。
医療従事者を“タダ働き”させるのか
コロナ分科会の尾身茂会長でさえ五輪開催に疑問を呈しているのに、東京五輪組織委員会は「五輪には医療従事者が1万人、看護師が500人必要」などと無責任な要求をする始末である。
その後、スポーツドクターを200人、それもボランティアで募集するといい出した。スポーツドクターというのは医師免許取得後4年が経過し、講習などを受講して得られる資格だそうだが、それだけの人材をタダで使おうというのだから、開いた口が塞がらない。