飲食店への時短要請も「非科学の全体主義」

東京都の統計によると、コロナウイルス新規感染者の感染経路の4~5割は「同居」、つまり家庭内での感染であって、飲食店や会食での感染は少ない。それにもかかわらず、昨年の緊急事態宣言以降、飲食店での夜8時や9時での営業自粛が求められた。

もちろん、零細の飲食店はその見返りに出された4万~6万円/日の協力金で少しは助かったこともあるだろうが、よく考えればこれも非科学極まりない。コロナは夜行性ではない。コロナは「この店は夜8時で閉店するから手加減してやろう」などとは思わない。

街に出てみよ。夜8時で閉店し、ラストオーダーが夜7時とか同7時半とかを見越して、飲食店はわんさかの人だかりである。何の為に飲食店等に時短営業を求めるのか、その根拠が曖昧模糊もことしたまま、「何となく悪いこと」という空気感が列島全体を支配している。

ウイルスのイメージ
写真=iStock.com/loops7
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夜飲みに行ったり、キャバレーに行ったりする著名人がスクープされ、罪人のように石を投げつけられるが、よく考えるまでもなくコロナは、その御仁がどこで飲もうといつ行動しようと、「感染力を弱めてやろう」とか逆に「強めてやろう」という忖度そんたくは存在しない。非科学の全体主義が、まるで一種の信仰のようになってこの国を覆っている。いつから日本人は近代的科学主義をかなぐり捨てて中世の時代に退行したのか。

100年前から技術は進んだが人間は進歩していない

100年前のスペイン風邪では、日本だけで約50万人前後の死者が出たが、当時「ネズミを焼いた粉末を飲めば予防になる」とか神社の厄除け札が飛ぶように売れたという。当時は、ウイルスというモノをそもそも観測することができなかった時代だ。それから100年経って、技術は進めど人間は何も進歩していない。非科学という名の鎖に、身も心も束縛されている。これは恐ろしいことだ。

GWをはさんだ3度目の緊急事態宣言下、東京都は「おうちで楽しめる娯楽」を提供するために、ネットで完結する東京観光巡りのサイトやバーチャル水族館や動物園動画を公開した。

百歩譲って水族館や動物園はともかく、東京観光巡りをネットで楽しみたいのなら、すでにグーグルマップがあるから何の意味もない。ここにもまた、莫大な予算が投下されたのであろう。

小池都知事は、ユーチューバーと対談したコロナ啓発運動動画に、一本平均200万円以上の予算を費やしている。落語の寄席には「客を入れるな」と伝統文化を破壊しておきながら、自身が出演する動画には何百万も使って無意味なプロパガンダを延々と続けている。

もうお分かりいただけただろう。小池都知事にも政府にも、コロナ対策などまるで何も頭にないのである。彼らの頭にあるのは、衆院選挙とオリンピックと都議会選挙の行方だけだ。

満腔の思いで言う。非科学のコロナ全体主義には絶対に抵抗するべきだ。空気がそれを押しつぶすなら今こそ空気に反逆すべきだ。コロナに意思はない。コロナに視覚はない。コロナに県境や国境の概念はない。人類がルネッサンス以降、数世紀を費やして実現してきた近代科学精神の灯が今まさに消えようとしている。この灯が消えたら文明は滅びる。非科学の全体主義に、小生は身を挺して徹底抗戦することをここに宣言するものである。

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