反体制派が収容される悪名高い場所

インセイン刑務所は、ミャンマーの人々には「多くの政治犯を長期にわたって拘留した場所」として負のイメージで語られることが多い。現在、国軍に身柄を確保されているアウンサンスーチー国家顧問もかつて同刑務所に収監されていたことがある。発表されている収容人員は5000人で、そのほとんどが反体制の政治犯とされる。

今回の事件を探る中で、事件の証人としてインセイン刑務所に出向いたことがある40代自営業男性の話を聞くことができた。

「インセインの敷地はまるでひとつの街のよう」と話す男性は、北角さんは刑務所に収監されていると報じられているが、「実刑となって牢屋に入っているわけではないと思います」と推定。「インセイン刑務所の敷地には、日本でいう警察署の留置場のような場所があって、起訴前段階の容疑者がそこに入れられるようです」。北角さんはそういった場所にいるのかもしれない。

刑務所に収容されている男性の手元
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ただ、もし「偽情報の流布」という罪状で刑が確定してしまうと、最長で禁錮3年が科されることになる。そうなると、かつて政治犯らが苦渋をなめた独房に入れられる可能性もゼロとはいえない。

食事が与えられないことも

ミャンマーの民主化を支援する国際交流基金アジアセンターによると、かつての政治犯らが語るインセイン刑務所での日々は、極めて過酷なものだったという。コンクリート製の独房は約2.7メートル四方という狭さで、刑務所では政治犯に対する人権侵害が日常的だった。軽犯罪の囚人には食事が与えられないなど、人道的に極めて問題のある施設であることがうかがえる。

一方、加藤勝信官房長官は19日の閣議後会見で、北角氏に関する今後の対応などについて次のように言及した。

「(現地報道により)ミャンマー刑法に基づき措置がとられた旨の言及があったが、この措置が日本における起訴を意味するのかは不明。違反行為の内容や具体的手続きなどについて引き続き現地の大使館を通じ確認を行っている」

その上で、「刑の確定前に刑務所に拘束されることも含め、わが国として、こうした対応は受け入れられるものではない。ミャンマー側に抗議するとともに、早期面会、早期解放を求めている」と政府の考えを明らかにした。