資料1を見てください。地方議員は「兼業あり」であるにもかかわらず、市議会議員の約44%は議員専業である。町村議会議員→市議会議員→都道府県議会議員の順に専業率は高まる傾向にある。
僕は写真家を続けながらこの仕事をしているが、昨今の自由な働き方を考えると、現在の仕事を続けながらでも十分に議員の仕事を兼業できる人は多いのではないか。
非常勤なのにボーナスも出る、謎の多い議員報酬
月額:44万4000円
年額:532万8000円
期末手当(年2回):約114万5000円×2
報酬(年額)と期末手当の合計:約762万円
資料2を見てください。議員報酬は人口の数に比例し、各自治体によって違う。秦野市の人口は約16万人。まずはあなたの街の議員が実際にいくらもらっているのかを確認していただきたい。
常勤職である国会議員には歳費(給与)が支払われるのに対して、非常勤である地方議員には報酬が支払われる。本稿のテーマは地方議員なので、国会議員の給与には言及せず、あくまで地方議員の報酬にフォーカスして話を進めたい。
報酬とは本来、労働の対価として労働日数に応じて支払われるべきものである。それがなぜ月額で支給されているのか。なぜ非常勤なのにボーナスまで支給されるのか。疑問点は多い。
議員報酬を給与として考えるべきなのか、それとも労働の対価として考えるべきなのか。そこが大きい。
しかし、議員は落選すると失業保険も健康保険もないタダの人。議員年金は廃止され、退職金もない。現在の秦野市議会議員の平均年齢は62.4歳(令和2年4月1日現在)。落選したら多くの議員は再就職先を見つけることすら困難であろう。
賃上げの可決理由を市民は納得できるか
報酬だけで生活する専業議員の不安(リスク)は大きく、この不安が議員を保身へと走らせ、ベテラン議員が若手へ席を譲らないなど新陳代謝の阻害に繋がっているとしたら、今の制度自体を考え直さなければならない。
では、実際に議員は自分の報酬をどうみているのだろうか。
令和元年度12月に行われた秦野市議会第4回定例会では、議員の期末手当の賃上げを議員自らが提案し、賛成多数で可決された。
びっくりするのが自分たちの報酬、手当は自分たちで決められるシステムなのだ。
もちろん可決したということは、現在の報酬を「少ない」と思っている議員が多数だということである。その賛成理由としては、「若い世代や多様な人材が議員をこころざし、市民の負託に応えて、より議員活動がしやすい環境整備をするため」と議事録には記載されている。
このステレオタイプな説明に納得のできる市民はいるのか。