※本稿は、伊庭正康『目標達成するリーダーが絶対やらないチームの動かし方』(日本実業出版社)の一部を再編集したものです。
リーダーが「残業」する姿を見せてはいけないワケ
部下には「残業を削減しよう」と言いながら、自分の数字が厳しくなると、とたんに残業し始めるリーダーがいますが、一貫性のない言動は必ず信頼を失います。
リーダーの残業には、さらに危険な副作用があります。
リーダーの行動はすべてがメッセージとなるからです。リーダーが残業する姿は、「数字が難しいなら、残ってでもやれ」という、部下へのメッセージになってしまうのです。
でも、目標達成をあきらめるわけにはいかないですよね。そんなときこそ、思い切って、翌朝に回してみてください。あえて、その日はサクッと帰り、翌朝、誰よりも早く始動するのです。実際、生産性も高くなるので、こちらのほうが健全です。
今だから言えますが、私も業績が厳しいとき、残業をせずにサクッと帰りつつ、朝の6時半に出勤していた時期がありました。自宅は京都で勤務地は大阪の難波でしたので、だいたい1時間強の通勤時間。朝の5時過ぎの電車に乗るわけです。
それでも、朝の仕事はいいものです。夜とは比較にならないほど、集中できます。つくづく残業なんてするものではないと思いました。
しかしここで、次のように思われた人もいるでしょう。「それって、時間外勤務でしょ」と。そうです。タイムカードも正直に打刻します。
したがって、あくまで緊急事態の対応。
ここで言いたいのは、メンバーに「夜に残業をしてはダメ」と言ったからには、自分自身も絶対に夜に残業しない姿勢を貫くことが大事だということです。
ラテを飲んでいたのがバレた
メンバーは、リーダーの行動をよく見ているものです。
実は、私には「リーダーは見られている」ということをおろそかにした、失敗談があります。
ある時期、集中力を保つために、外で仕事をしていたことがありました。私の場合、外のほうが集中できたからです。
あるとき、スキマ時間で3本の企画書を作成しなければならず、カフェの野外テラスで仕事をしていました。もちろんサボっているわけじゃなく、むしろ一心不乱に仕事をしていたのです。
そして、1時間で3本の企画書を仕上げ、事務所に戻ると、部下から「伊庭さん、ひどいじゃないですか。会社を抜け出してカフェでラテを飲んでいたそうじゃないですか」と言われたのです。
たしかにラテを飲んでいました……。「見え方」もリーダーとしての大事な所作であることを実感した出来事です。
リーダー自身が残業をしている姿は、チームのほかのメンバーにも負の影響を及ぼします。
OK「部下への見本」となるように率先して早く帰る
リーダーの行動は常に部下から見られています。部下を早く帰らせたいなら、自分も早く帰りましょう。