明らかに様子のおかしい義父母に振り回される30代の嫁
中部地方在住の能登千秋さん(仮名・30代後半)は現在、介護認定調査員をしている。30代前半、介護福祉士として働いていた頃、6歳上の夫と結婚。2015年には双方の実家に遠くない場所に新居を建て、翌年12月に長男を出産。子育てと仕事に追われつつも、幸せに暮らしていた。
ところが2017年3月、突然、当時72歳の義母から電話がかかってきた。
「千秋さんのお姉さん、もうすぐ2人目が生まれるんでしょ? なのに、まだ上の子のお祝いをしてなかったわよね?」
能登さんの姉が上の子を出産したのは3年前。お祝いはとっくにもらっていることを伝えると、「そうだった? やだわ〜、最近忘れっぽくて」と笑ってごまかした。
半年後。姉が無事2人目を出産したことを義母に伝えると、その数日後、再び電話が。
「お父さんの運転で(能登さんの)お姉さんの産院へ行こうと思ったら迷子になっちゃって……」
後で姉から聞いた話によると、産院に着いた義母は、「“初めて”来る病院だから迷っちゃった」と言ったそうだが、そこは能登さんが長男を出産した場所。義両親は生まれた長男に会いに何度も来ていた。
明らかにおかしい。そう思って義父母に介護認定調査を受けさせようとしたところ、義母は激怒し断固拒否。義父は要介護1だった。
義父も義母も、いよいよ「これはヤバいな…」
その後、義母から「お姉さんの2人目はいつ生まれるの?」とメールが届く。能登さんはいよいよ、「これはヤバいな……」と思った。
その年の暮れには当時73歳の義父が車を自宅車庫にバックで駐車しようとして、アクセルとブレーキを踏み間違え、車庫に突っ込んでしまい、後方ガラスが大破。能登さんは夫とともに義父母を必死に説得し、免許を返納させ、車を処分した。
すると連日連夜、義父母から「車を返せ!」「車が盗まれた!」「車を貸してくれ!」などと、電話やメールの嵐。能登さん夫婦は、義父母ともに認知症の症状が悪化していると確信した。
それからというもの、「財布や貴金属類がなくなった、泥棒が入ったんだ」と警察を呼んだものの、後日、冷蔵庫や下駄箱の中から出てきたり、義父が歩いて数分のコンビニへ出かけたきり帰ってこないため警察に届けたところ、本人は片道5kmほど先の寿司屋でのんきに寿司を食べていたり。能登さん夫婦は仕事や幼い子どもを抱えつつも、2人に振り回され続けた。