どうすれば強い組織が作れるか。サムスン電子常勤顧問のクォン・オヒョン氏は「業績の良くない部署の特徴は、他部署とのコミュニケーションが取れていないこと。こういった状況を改善するには、部署の責任者を前触れなく異動させればいい。こうすることで部署間のコミュニケーションは回復し、業績も伸びていく」という――。

※本稿は、クォン・オヒョン著『ナメられない組織の作り方』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。

2020年2月6日、マウンテンビューにあるサムスンリサーチアメリカキャンパス
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業績がよくない会社の残念な共通点

トルストイの『アンナ・カレーニナ』は、次の有名な一文から始まります。「幸せな家庭はみなよく似ているが、不幸な家庭は不幸の理由がそれぞれ異なる」。

驚くことにどの組織でも、どの会社でも、これと同じ様相が見られます。私が赤字事業部署の立て直しをしてきた経験からも、不幸な会社ではメンバーがみな、それぞれ異なる問題点を口にします。慢性的な赤字の理由について聞くと、みな異なる理由を挙げるのです。

これはなぜでしょうか? 赤字が続く理由は、複数の問題点が複合的に起こっているからでしょうか? あるいは赤字部署のメンバーたちが、みなバラバラなことを考えているからでしょうか? そしてこんな状況で、リーダーはどんな解決策を提示すべきでしょう?

業績のよくない会社や部署の共通点は、事業部署や人的資源が、みなサイロ(飼料用穀物などを貯蔵する煙突型の倉庫)のように分離していることです。円滑であるべきコミュニケーションは一つのサイロ内だけにとどまり、他のサイロの事業部署やメンバーとは対話が行われないという、共通した現象が起こっています。

不幸な家庭も同じではないでしょうか。不幸な家庭の夫婦は互いに話をせず、それぞれテレビを見たりスマホに顔を向けたりしています。子供は部屋にこもってゲームばかりしています。対話は途絶え、家族間の親密な交流はありません。

反対に幸せな家庭はどうでしょうか。会話をし、親密な感情のやりとりがあります。