「意義が感じられない」新人の仕事

【こんな部下に】基本的な仕事、ルーティンに意義を見出せない人
できる人ほどつい出ちゃう残念な言い方
「地道な作業をおろそかにしちゃダメだよ」

⇒「上っ面をなぞった言い方」の典型、ほとんど何も伝わらない

一見、単純作業や雑用に思えてしまうことが多い新人の仕事ですが、そこだけに注目してしまえば、そうした仕事に「意義が感じられない」と思ってしまうのは、ありがちなことです。

そう感じてしまうのは、「もっと価値のある仕事を」「やりがいのある仕事がしたい」というモチベーションからでしょうし、「こんな単純作業の繰り返しばかりじゃ成長できない」という焦りもあるでしょう。

もちろん、この場面で「もうひとつ上のランクのタスク、徐々に負荷の高いタスク」をアサインする手もありますし、遠からずそうすべきではあるのですが、やはり、その前に基本的な仕事、ルーティンにはどういう意味や意義があるのかということを、しっかりと本人に納得させるのが第一義となります。

「部活と習い事」を例に話せば腹落ちする

相手に腹落ちさせるには、何かを例にして伝えるのがベストですが、よく用いられるのが学生時代の部活や子供の頃の習い事です。

中学、高校時代の部活は、スポーツでも音楽でも分かりやすいのですが、本番の試合や大会の時間などはごくわずかで、大部分の時間を練習に費やしてきませんでしたか?

しかも試合形式、本番形式の練習は最後で、最初は基本練習を繰り返してきたはずです。

テニス、バスケット、野球、サッカー、バレーボール、武道、ブラスバンド等々、全部基本練習をして基本動作を身につけた後、試合形式、本番形式の練習に進んだのではないでしょうか。

初めてテニスや野球を始めた時、まずは上級生や先輩のフォームを真似して、ラケットやバットの素振りから始めたのではないでしょうか。

大塚寿『自分で考えて動く部下が育つすごい質問30』(青春新書インテリジェンス)
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もちろん、その前にウォーミングアップの準備体操やストレッチ、キャッチボールなどの基本練習がありましたが、いきなり試合や演奏が始まるケースなど皆無に違いありません。スポーツならケガをしてしまうでしょうし、練習なしの演奏など考えられません。

仕事もまったく同じであることを新人に伝えましょう。そもそもどんな仕事も95%は定型・反復業務の繰り返しで、残り5%程度が問題解決・創造業務という自己表現のチャンスといった割合なのではないでしょうか。

しかも、この5%は、95%が完璧にこなせた後にあるようなものです。「価値のある仕事」や「成長」を希望するなら、なおさら基本や日々のルーティンを完璧にこなせるようになるのが近道であることを伝えましょう。