小池氏が考えているであろう、次なる一手

小池氏は満員電車ゼロや待機児童ゼロなど「7つのゼロ」を公約に掲げていた。だが、いずれも達成されていない。しょせん、選挙公約なんてものは有権者にすぐ忘れられてしまい、うやむやになってしまうものなのだ。同様に「食のワンダーランド」や「盛り土」も、誰も覚えていない。

善良なる市民は、こうしたポピュリストがそのときどきの「風」を読んで発する耳あたりのよい言葉に拍手喝采し、利用されるだけである。

小池氏の作業着姿──これは将来首相になるための演出のひとつであると、私は見ている。彼女はこの1年ほどを通じて、「コロナ禍の危機対応に奮闘するリーダー」というイメージを多くの人々に植え付けた。千葉・神奈川・埼玉の知事でさえ彼女の手のひらの上で踊らされている、と印象付けることにも成功した。さらには、森喜朗氏の立ち回りのみならず、菅義偉首相の政治判断にまで影響を与えている。

小池氏が温めている、次なる未来はコレだろう。

東京都知事として、流暢な英語で感動的なスピーチをする。

これが決定打だ。英語コンプレックスの塊である日本人は、コレにやられる。「国を任せるのはもう、小池さんしかいない!」となり、「小池首相」誕生への道は着々と固められる。

「日本初の女性首相」誕生に至る想定ロードマップ

コロナ対策において、小池氏は国の失政を散々指摘し、菅義偉首相との対立を演出してきた。ここで狙っているのは、菅内閣の支持率ならびに求心力の低下である。

そして、関係性の深い二階俊博氏が自民党幹事長であるあいだに、電撃的に都知事辞任→次の解散総選挙に無所属で出馬し、当然圧勝。そして自民党復党→二階氏の庇護のもと国政での存在感を高める→自民党総裁選に出馬し、勝利→初の女性首相に! ……というロードマップを描いているのでは、とさえ私は思ってしまった。

「女性の要職への登用」といった社会的な「風」が強くなるなか、そろそろ日本でも女性首相が誕生しなくてはマズい、という状況になっている。ライバルは野田聖子氏、稲田朋美氏あたりになるだろうが、存在感は小池氏が図抜けている。

妄想めいたものも含め、さまざまな私見を書き述べてしまったが、小池氏という人物はこのくらい抜け目なく「風を読む力」を持っていると捉えている。小池氏のこれまでのブランディングやPRのやり方は、日本のすべてのPRパーソン、すべての編集者が参考にすべきである。

【まとめ】今回の「俺がもっとも言いたいこと」
・人物の好き嫌いはさておき、小池百合子都知事の巧妙なブランディング戦略、抜け目のないPR戦略は、すべてのPRパーソン、すべての編集者が参考にするべきだ。
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