「危機感をもつことが安心を生む」「安心感をもちすぎると危機を生む」。これらはどちらも、真理だと思う。大切なのは、危機感と安心感をバランスよくもつこと。「いまのままじゃダメだ」という危機感が強すぎると、ホッとする暇がなくなって、人生は窮屈になる。「いまのままでいい」という安心感が強すぎると、成長が止まって、人生は停滞してしまう。うまくバランスをとるには、いま、自分のどちらの感情が強いかを、常に意識しておくことが重要だろう。
どちらかの感情が強くなりすぎていると感じたら、書店にいってみよう。棚を見渡せば、同じ「自己啓発」がテーマでも「自分を変える方法」と「自分のままで生きていく方法」という、2パターンの本があることに気がつくはずだ。あなたが安心しきっているなら前者の本を、危機感にあおられているなら後者の本を、手に取ってみる。自分にぴったりあった、本の処方箋を見つけてみよう。
5.成功よし、失敗なおよし
誰だって、成功したい。だから失敗してしまったときには、ひたすら落ち込んでしまう。でもだからといって、失敗は「いけないもの」ではない。
失敗は、自分の弱さを教えてくれたり、新しい考え方を与えてくれたりするものだ。一方で成功は、喜びが大きい分、その感覚に酔いしれてしまって、何かを学び取ることが難しい場合も多い。長い目で見てみると、成功よりも失敗のほうが、その人のその後の人生に、いい影響を与えてくれるのではないだろうか。
「人生100年時代」となったいま、一度の成功で頂点を極めて終わり、というほど人生は短くない。何度か人生のピークをつくっていかないと、100年ももちこたえられないかもしれない。
それならば僕は、ひとつのことでずっと成功しつづけるのではなく、いろんなことに少しずつ挑戦し、新たな成功の可能性を探っていきたい。挑戦するたびに、きっと失敗も重ねるだろう。でも、その経験こそが、僕たちを新しい成功へと導いてくれる。そして僕たちの人生に、深みを与えてくれる。そう信じているのだ。
だから「成功よし、失敗なおよし」。この言葉を忘れずに、失敗を恐れず、チャレンジを続けていこう。
6.「努力の対価が成功」という勘違い
「成功するために、努力する」という考え方が、いつの間にか、「努力すれば、成功する」に変わってきてしまうことがある。でも、それは勘違いだ。努力したって、成功しないことは、いくらでもありえるのだから。