半グレは4パターンに分類できる

先述したように、東京弁護士会民事介入暴力対策特別委員会委員長の齋藤弁護士が言及していますが、現在の「半グレ」の定義は曖昧です。10代の不良も、20代の青年も、40代の元暴アウトロー(社会復帰に失敗した暴力団真正離脱者や計画的な偽装離脱者)も一緒くたにして、半グレと括るのは、ちょっと大雑把すぎるのではないかと考えます。

しかし、カオス化した裏社会を語るに際して、それ以外に何か適切な呼び名があるのか──と言われると、確かに困惑します。ですから、現在、報道などで用いられている半グレという呼称に異議を唱えるつもりはありません。いつの日か、半グレ研究が深耕され、適切な定義、分類がなされることを願っています。

本稿においては、現場の聞き込みで得た一次情報に基づく、筆者なりの見解を述べるに止めます。筆者が様々なフィールドにおいて、反社といわれる人たちと面談し、見聞きした範囲から、半グレとは(世間で半グレと呼ばれている対象は)少なくとも以下の4パターン存在するのではないかと考えました。

(1)関東連合やドラゴンに代表される草創期の半グレの流れ、(2)オレオレ詐欺の実行犯(これは、昨今ではそのまま暴力団の手先となっているケースが多いと聞き及びます)、(3)ウラのシノギをしつつ正業を持つグループ、(4)元暴アウトロー(暴力団を離脱したものの正業に就けず、違法なシノギで食いつなぐ者などです)。

(1)~(4)について以下詳述します。

暴力団に近い「準暴力団」

(1)関東連合OBやドラゴンOBに代表される草創期の半グレは、暴力団になるのはちょっと面倒くさいが、10代の頃の暴走族やグレン隊の非行集団の仲間関係を引きずり、どちらかというと、暴力団に近い「準暴力団」的な活動(みかじめ料徴収や薬物関係、債権回収など)をシノギとしている集団。先述の溝口敦氏のいう「半グレ」がこれにあたります。なお、このカテゴリーでは、AV業界に進出する者もいました。

人気女優を多数在籍させるプロダクションを立ち上げることで、AV業界で成功を収めています(AV業界のスカウトは、プロダクションよりも上位に位置し、暴力団の縄張り内での活動となるため、暴力団のシノギに直結する)。最近では、性的行為なしに特化した「チャット女優」を使ったエロチャットなどのビジネスも、こうしたプロダクションの収入源となっています。

さらに、チャット利用上、NGとされる行為を客からされた女優の相談を受けた場合、女優を管理するプロダクションの立場を利用して「NG行為」を犯した者(被害者となる)に対して、金員を要求するなどのシノギを行っています(『OCC2019summerNo.6』立花書房)。