年を取るほど「このままが安全」と思いやすくなる
私たちが変化しようとする時、それを邪魔するものに、意識があります。意識はこれまでの記憶をもとに、私たちのことを「変われない」と決めつけるからです。
脳の中では、意識の座である「前頭葉」と記憶を蓄える「側頭連合野」が、これまでの記憶を使って、未来の予定を立てています。
年齢を重ねるほど多くの記憶が側頭連合野に蓄えられていますから、前頭葉が「これまでの記憶によると、このままいけばこれからも大体のことはこなせるはずだ」と見積もりを出し、「このままが安全!」と頑なに慣性の法則を押しつけてくるのです。
そうなると新しいことへのチャレンジやイノベーションを起こすことはできなくなってしまいます。
では前頭葉が働きすぎてしまう場合、どのように対処すればいいのでしょうか。
ラグビー日本代表が起こした「ブライトンの奇跡」
このことを考えるにあたり、とても参考になる出来事があります。
それは「ブライトンの奇跡」です。2015年に開催された第8回ラグビーワールドカップ・イングランド大会で、日本代表が、優勝候補にも挙げられていた南アフリカに勝利したのです。
ラグビーワールドカップの歴史を振り返ると、1987年の第1回大会から2015年の第8回大会の初戦となった南アフリカ戦まで、日本代表チームはたった1勝しかできませんでした。
20年以上かけて1勝しかできなかったチームが強豪国に勝利したのですから、当時そのニュースは驚きをもって報道されました。
世界中の誰もが、日本代表チームの選手たちですら、こう思っていたに違いありません。「日本が南アフリカに勝てるわけがない」と。