お金を殖やすだけではない投資の喜び
投資について最後にもう一点、触れておきます。ここまでは投資を利殖と考えて話してきました。しかし、投資の目的は利殖だけではありません。
たとえば、自然分解するプラスチックの開発に取り組んでいる会社があり、あなたがその会社に共感を覚えたとします。そこで、その会社の株を50万円買って「投資」することにした――これは、お金を殖やすためというより、自然分解プラスチックを普及させて地球環境の改善に役立ちたいという気持ちから出すお金です。いわば、お金による民主主義です。
投資には、このように企業の思想や方針を支援し、社会に貢献しようという意味合いもあります。もし、その会社の新商品の開発がうまくいって、100万円の配当を手にしたとしても、それはあくまでも結果です。
欧米ではこうした趣旨の投資が盛んです。従来の財務指標だけではなく、環境(E)・社会(S)・ガバナンス(G)に配慮した経営をしているかどうかを重視するESG投資がその好例です。日本でも最近注目されるようになってきました。
今日では、株や投資信託を買うほかに、インターネット経由で資金を提供するクラウド・ファンディングもあり、共感する企業やNPOの活動に、誰でも簡単に投資することができるようになりました。
自分のお金を社会に還元することには、単なる利殖では得られない達成感と充実感があります。そのような種類の投資も、ぜひ視野に入れてほしいと思います。