「女性がたくさん入っている理事会の会議は時間がかかる」「(発言の短い組織委員会の女性理事らは)わきまえておられる」――。東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の森喜朗前会長による女性蔑視発言への、抗議の声が止まらない。森前会長の発言は、これまでの政治家の失言とは何が違うのか。相模女子大大学院特任教授でジャーナリストの白河桃子さんと、ツイッターでフェミニズムについて発信してきた、広告関連の仕事をする会社員の笛美さんが語った――。
※対談は、音声SNS「Clubhouse」(クラブハウス)で、公開取材として行われました。
「わきまえていた」女性たち
【白河】今回の森前会長の発言を最初に聞いたときに、笛美さんはどう思いましたか。
【笛美】「はあ?」と思いました。
森前会長は前から同じような(女性を蔑視するような)ことをおっしゃっていました。でも今回は、組織委員会会長としての発言だったので、本当にびっくりして「マジか」と思っちゃいました。
【白河】そうですよね。私はですね……、けっこう怒りました。
【笛美】白河さんは、これまでもたくさんこうした(男性政治家が女性を差別する発言をするという)シーンをご覧になっているじゃないですか。それでも今回怒ったのは、なぜですか。
【白河】その日の夜、私はたまたま、Clubhouseで森前会長の発言について語る部屋を立ち上げていた知り合いがいたので入ってみたんです。すると、みなさん結構感情を抑えて耐えている感じがしたんです。
こういう場合ですら「感情を出したら女のヒステリーと言われるんじゃないか」「自分たちに非があったんじゃないか」と考えてしまう。発言も「わきまえて」しまっているんです。いろんな思いを言語化できないんです。
それで私自身が耐え切れなくなっちゃって、「これは怒っていいんですよ」って思わず言っちゃいました。
【笛美】すごい。