大胆な発言や行動が魅力的な赤名リカ
もっとも、周囲との人間関係が良好なうちは、ADHDのそうした奔放な振る舞いが「魅力的」に見えることもしばしばです。
彼らは、コミュニケーション全般が苦手、というわけではありません。一般的には、ADHDの人は比較的フレンドリーで、人当たりがいい印象があります。初対面の人とも、すぐに仲良くなれることも多いのです。
その証拠に、漫画やドラマなどにおいて人気のあるキャラクターには、ADHDタイプが珍しくありません。
例えば、1991年に大ヒットしたテレビドラマ「東京ラブストーリー」に登場する「赤名リカ」です。
「セックスしよ!」などと突飛なセリフをパッと口にして人を振り回すこともあるのですが、そうした大胆な発言と行動が、常識的な人には新鮮であり、魅力的です。
楡野鈴愛もADHD的
最近のドラマでは、NHKの朝の連続テレビ小説「半分、青い。」のヒロインである楡野鈴愛にも、「思いつきで勝手なことを言う」といったADHDの特性が見られていました。
1971年に生まれたヒロインの鈴愛は、そそっかしく勘違いによる失敗も多いけれども、何事にもくじけずに挑戦していく気概のある少女です。
岐阜県の田舎町、東美濃市のふくろう商店街にある食堂の長女として生まれた鈴愛は、子ども時代に片耳の聴力を失いましたが、絵を描くことが好きな明るい少女に成長しました。
鈴愛は飾り気のない性格で、周囲からは「お前の口は羽よりも軽い」と言われていました。
高校3年生の夏休み、鈴愛は幼なじみの萩尾律から借りた秋風羽織の少女漫画に熱中していました。鈴愛の就職はなかなか決まらなかったのですが、祖父の尽力もあってようやく農協から内定を得ることができました。
ところがその直後、秋風のトークショーに行った際、弟子入りの誘いを受けたことをきっかけとして、鈴愛は就職をやめて、東京の秋風の元で漫画家を目指すことを決めてしまったのです。
鈴愛には、ADHD的な特徴が顕著に見られます。いつも彼女は何かをやらかしてしまいます。慌て者で、授業中にぼんやりしていたことを教師に注意されたときは、焦って立ち上がろうとして転んでしまいます。本人も自分がそそっかしくおっちょこちょいであることに悩んでいましたが、興味をひくことが出てくると、悩みはすぐに忘れてしまうのでした。
鈴愛の行動は予想がつきません。男子に向かって本気で刃向かい、機関銃のようにしゃべり続けたりもしました。こうした彼女の言動にはADHDの特徴がよく見られていますが、同時に魅力的な面でもあるのです。
2018年に亡くなった漫画家・さくらももこさんも、ADHDを思わせるエピソードをいくつも残しています。