精神科医の岩波明さんによると、「家事ができない、細かい気配りができないといった発達障害の特性は、今も日本社会で好まれる『やまとなでしこ』『控えめ』『我を通さない』といった女性像と対照的。そのせいで発達障害の女性は『責められやすい』」といいます。小学4年生のときにLD(学習障害)とADHD(注意欠如多動性障害)、中学生のときにアスペルガー症候群と診断された漫画家の沖田×華さんが、その大変さについて岩波さんと語りました――。
※本稿は、岩波明『医者も親も気づかない 女子の発達障害』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
“やまとなでしこ”とは正反対の毎日
【沖田】女子として困ったのは、下着かな。
【岩波】性別に違和感があったのですか?
【沖田】ありました。ブラジャーの締めつけ感もだし、とにかく生理がめちゃくちゃイヤでした。私は学校で始まったんですけど、言えなくて。
【岩波】まだきちんとしたデータも調査も出ていませんが、発達障害の特徴を持つ方は、性別違和を感じている方が多い印象です。性同一性障害と診断できる人もいれば、そこまでではない人もいる。
【沖田】小学生の頃は、ずっと男になりたかったです、私が女だからこういうしんどい目に遭ってるんだと思ってたし。
【岩波】日本の女性は、日本的な女性らしさ、いわゆる「やまとなでしこ」的なものを望まれがちです。子どもより大人の女性のほうがその傾向が強いんでしょうけど、発達障害的な特性は、やまとなでしことは逆なところがあります。だから発達障害の女性は男性より、生きることが苦しいんじゃないでしょうか。
【沖田】結婚する人は多いかもしれないですけど、問題は育児ですよね。妊娠、出産、子育て。発達障害の人がどうやっているのか不思議で。
私はもともと小児科の看護師だったので、子どもの変化には気づける自信がありました。でも悲しいかな、病気の子の変化はすぐにわかっても、病気のことしかわからない。健康な子の変化がわからないんです。
健康な子の予測不可能な動きに、みんなどう対処してるのかな。私なら絶対に目を離しちゃう。車にはねられたりして、子どもが早死にすると思います。