※本稿は、岩波明『医者も親も気づかない 女子の発達障害』(青春出版社)の一部を再編集したものです。
みんなが天才なわけじゃない
【岩波】沖田さんは共感覚をお持ちなんですね。絵に味を感じるとか、音に色を感じるとか。
【沖田】そうです。
【岩波】19世紀フランスの有名な詩人アルチュール・ランボーとか、ロシアの抽象画家カンディンスキーといった人にも、同じような記録があるんです。
音に色を感じるというのは「色調」といって、ドレミファで全部色が違うそうです。
【沖田】数字にも色を感じたりって、あるみたいです。
【岩波】この現象は異常ということではないようで、報告はけっこう多い。発達障害に関連していると言われますけど、はっきりはしていません。
【沖田】コミュニケーションの最中も、色を見ることがあります。
例えば、会話中に悪意のあることを言われたときに、違和感が色で出てくる。しゃべっているときに赤い矢印がピャッて入るんです。「あ、このフレーズは何かあるぞ」と。矢印が大きければ大きいほど悪いことで、違和感が大きい。
家に帰って反芻してみると、「ああ、あれは発達障害に対するマウンティングだな」とかわかる。
特に女どうしの会話に多いです。
【岩波】さまざまな報告がありますが、およそ100人にひとりぐらい、そういう症状を持つ方がいるようです。烏山病院のソーシャルワーカーはADHDで共感覚がある人なんですが、音と色の組み合わせの共感覚を持っています。
発達障害に対する世の中の誤解で、気になるものはありますか?
【沖田】天才という思い込み。みんながみんなレインマンだの、小島慶子さんみたいに天から授かり物を受けた存在じゃないんだっつーの!
「この子には何かずば抜けたものがあるはず!」という目で見てくるのがイヤ。
【岩波】沖田さんには、漫画の才能があるじゃないですか。
【沖田】たまたまです。漫画は編集者と作ってきて、昔から比べるとうまくなったんです。昔は、場面が移ると日付が違ってるとか、登場人物が脈絡のない話をしてるとか、ありました。