自分を好きにならなくていい
自分の将来のためにどうしていくかを考えるとき、「自分を肯定する」「自分を好きになる」といったことを目指そうとする人が多くいます。自分を見つめ、自分の力だけで生きやすさを得ようとするのでしょうが、おすすめしません。
どうして自分の内部ばかり見つめることをやめた方がいいのでしょうか。
みなさんは広い宇宙の中で、ひとりで生きているわけではないからです。絶えず、家族や友人といった他者とつながって生きています。影響を受けたり、与えたりしながら、苦しんだり傷ついたりします。楽しいこともあるでしょうが、よく考えると、傷つくだけの人生だったという人もいます。
それでも生きていくために、必要なものは「自己肯定感」といったものではありません。ましてや、そんな「自分を好きになる」ことでもありません。
自分を嫌悪することで生まれるエネルギーもある
私はいつも「楽かどうか」「ほっとできるかどうか」という点を大切にしたいと思っています。この感覚は心と体に分けられるものではなく、なんとなくそう感じられる状態のことを指します。
たいてい自分はいやなものです。でも、自分を認められず嫌悪するところから、エネルギーが生まれることもあるのです。それに自分を好きになったり自己肯定感を得ようとしたりすることは、「自分がいやな自分を否定する」ことになりはしませんか。
「今あなたは、ほっとできているか」「誰と、どこにいるときに楽なのか」という問いかけの方が、生きていくためにはるかに重要だと私は思います。