「学校へ行きたくない」と言う子どもに、どう対応すればいいか。原宿カウンセリングセンター所長の信田さよ子さんは「追い詰められてしまった子は、家と学校という環境からいったん離れるといい。自分を好きになれなくても安心できる状態や環境を見つけることが重要だ」と説く――。
※本稿は、茂木健一郎・信田さよ子・山崎聡一郎『明日、学校へ行きたくない 言葉にならない思いを抱える君へ』(KADOKAWA)の一部を再編集したものです。
コロナは教育が変わるチャンスだった
子どもが「学校へ行きたくない」というと、悩んでしまう保護者の方がたくさんいます。けれども、したくないこと、やりたくないことをするのは、心にも身体にも悪いことです。学校に行きたくない気持ちを責めないことが大切だと思います。
学校に行かなくても、リモートでも動画サイトなどでも勉強はできますし、数日休んだからといって、世界が変わるわけではありません。がんばって行こうとしているから行きたくないのです。ちょっとがんばって学校に行くのをやめてみてもいいのではないでしょうか。実際にコロナで、強制的に学校を長く休みにしましたよね。
コロナ禍での休校は、タブレットをみんなに配布すれば、みんなそろって学校に行かなくてもいいし、給食で同じものを食べなくてもいい、ということを国民に周知徹底できる良いチャンスでした。しかし、日本ではそうは思われません。「リモート授業」となり困ってしまったのは、これまでの学校教育が不登校を無視してきた結果だといえると思います。
なぜかというと、日本では学習内容より、国民として従事するためのシステムが重視されているからです。制服を着て、同じ時間に来て、一緒のものを食べて、一列に並んで……みんなと同じことができないと、まずいと思われているんですね。