中国のレアメタル買い占め問題に対抗するためEUは重要な鉱物資源について「原材料連合」を組織し、独自の供給網をつくる動きに出ている。「カーボンニュートラル」を標榜した日本は、どんな戦略で対抗するのか――。
南鳥島沖の海底約5300メートルから採取されたレアメタルを多く含む岩石「コバルトリッチクラスト」。中心の基盤岩の周りを厚さ数センチのクラストが覆っている=2016年2月9日、東京・文部科学省
写真=時事通信フォト
南鳥島沖の海底約5300メートルから採取されたレアメタルを多く含む岩石「コバルトリッチクラスト」。中心の基盤岩の周りを厚さ数センチのクラストが覆っている=2016年2月9日、東京・文部科学省

コバルトなしで大容量と安全性を両立するのは難しい

今年1月に米ラスベガスで開催された世界最大のデジタル技術見本市「CES」。パナソニックの電池技術・製造部門のトップ、渡辺庄一郎氏が登壇した。テーマは「EV(電気自動車)電池の未来」。そこで渡辺氏は「パナソニックはレアメタル(希少な非鉄金属)の一つであるコバルトフリーの大容量電池を2~3年後に世に出す」と発言、関係者の注目を集めた。

渡辺氏が自ら話すように「実現すれば電池ビジネスのリーディングカンパニーになれる」だろう。コバルトなしで大容量と安全性を両立するのは難しいためだ。

テスラはパナソニックなど外部から供給を受けてきた円筒形セルについて、2022年にEV140万台分に相当する年間100ギガ(ギガは10億)ワット時を自社生産する計画をこのほど表明した。現在のパナソニックからの購入量の約3倍にものぼる。

同社は2019年に独自の電極技術を持つ米マクスウェル・テクノロジーズを2億1800万ドル(約240億円)で買収するなど、電池の中核技術のノウハウを蓄積している。セルの自社生産も電極素材や製造工程を抜本的に見直し、容量当たりの生産コストを現在に比べ56%引き下げる計画だ。

中国は電極部品として不可欠なレアアースを禁輸に

パナソニックはリチウムイオン電池の中核部材である正極材に独自の技術を持つ。その特性は電池の大容量化だ。競合する中国・寧徳時代新能源科技(CATL)や韓国・LG化学との比較でも、「大容量かつ安全性も高い電池の生産ではパナソニックが一歩先を進んでいる」(大手証券アナリスト)とされる。

EVの原価に占める電池の割合は3割程度を占める。ガソリン車に比べても割高なEVの価格を下げるには高価なリチウムやコバルトをいかに減らすかがカギとなる。コバルトフリーの大容量電池が実現すれば、インパクトは大きい。

原価低減以外にも、レアメタルの利用をいかに減らすかが、各国とも大きな課題となっている。コバルトなどレアメタルを独占する中国の問題があるためだ。

電池の生産増に伴い、電極部品として不可欠なレアメタルについて、中国が輸出管理を強化している。中国は今年1月15日、レアアース(レアメタルのうちの希土類)の統制を強化した。昨年12月施行の輸出管理法では、戦略物資やハイテク技術の輸出を許可制にできるようにした。レアアースの禁輸もその中に加えられたのだ。