マウンティング合戦? 女子大生の心は…
女子大生の私達がカフェに集まれば、
当然のように自慢合戦が勃発する。
海外ブランドのバッグに限定コスメ。
内容がどうであれ、我々は最高の褒め言葉をかける必要がある。
「以上です」
自慢話を終えた友人は頭を下げた。
家族や恋人に褒めてもらえない私達は、
互いに褒め合い励まし合うと決めているのだ。
【解説】
かつて流行語大賞の候補にもなった「マウンティング(女子)」。他人に対して自分の優位性を示そうとする動物の行動から、人間同士でも過剰な自慢をする様子を「マウンティングしている」と表現するようになりました。自慢は、している方はスッキリするかもしれませんが、された方は辟易してしまいます。
けれど苦労して手に入れた限定グッズや、財布の底まではたいて買ったブランド物はどうしたって誰かに「よかったね」と言ってもらいたいもの。
マウンティングとは捉えられたくないけど、でも自慢はしたい……。
「自慢合戦」はそんな悩みを抱えた女子大生達が編み出した解決策の一つです。
周りから見たら「女性同士のマウンティングか」と思われてもおかしくないカフェの一角で、彼女達は順番を守って自慢し合い、「最高の褒め言葉」で称え合います。
自分の周りにもこんなノリのいい友達がいたらきっと楽しいですよね。
短冊の願い事をめぐる「正しさ」
短冊に願いごとを書く息子の手が止まった。
それから消しゴムを手に取り書いた文字を消し始めた。 「どうしたの?」 「優勝できますようにって書こうとしたけどやめたんだ。
友達の方が頑張ってるから」
私は我慢しなくていいよと息子を抱きしめた。
けれど今も思う。
あの時私は正しいことをしただろうかと。
【解説】
ある夏、近所のスーパーで買い物をしていたら七夕の笹飾りが目に入ってきました。笹の葉に括られた短冊には「大金持ちになりたい」「好きな芸能人と結婚したい」といった夢のあるものから「家族が幸せに暮らせますように」「おじいちゃんが長生きできますように」といった人の優しさに触れられるものまで、バリエーション豊かな願い事が書かれていて、自分ならなんと書くかな、と想像したことを覚えています。
本作では、主人公の息子が「友達の方が頑張っているから」短冊に書いていた「優勝できますように」という文字を消してしまいます。頑張る友達の様子を間近で見て、自分よりもその友達を応援したいと思ったのでしょう。