中国でも「年末帰省」は自粛ムード
「もう丸1年も両親に会っていないので、自分は今のところ帰省するつもりでいるんですが、もしかすると、出発直前になってキャンセルする可能性も出てきました。中国ではいつ、何が起こるか分からないですし、もし実家がある都市で、私が滞在中、急にロックダウンなんていうことになったら……。両親も私のためを思ったり、世間体を気にしたり、苦悩しているようです」
春節が10日後に迫る2月初旬、上海の外資系企業に勤務する20代の独身男性に春節の予定を聞いてみたところ、こんな返事が返ってきた。大みそかに当たる2月11日から1週間、春節休暇で実家に帰る予定で航空券の予約をしていたのだが、1月末に両親からかかってきた電話により、帰省するかどうか、迷いが生じているという。
電話の内容というのは、両親が住むマンションがある地区の居民委員会(町内会のような住民組織)から両親への連絡で、もし、春節期間中に外部都市から帰省する親族がいる場合、その親族はPCR検査の陰性証明を必ず取得するように、との通達があったというのだ。
「民族大移動」が今年は半数以下になる見込み
報道されている通り、中国では今年に入り、新型コロナの新規感染者が東北地方の吉林省などを中心に増えた。2月に入り収束傾向にあるが、1月は1日に100人を超える日もあったので、緊張感は続いている。政府は今年の春節の「帰省自粛」を広く呼び掛けており、公務員や国有企業の職員は「帰省禁止」、農村地区への帰省者に対しては、帰省日からさかのぼって7日以内のPCR検査の陰性証明と14日間の自宅観察を義務づけている。
そうした厳しい措置の影響もあり、今年の「春運」(1月28日~3月15日までの40日間で組まれる、春節期間中の特別輸送体制)は、例年なら約30億人が移動する「民族大移動」となるところ、直近の発表では11億5200万人にまで減少すると見込まれている。例年なら、すでに混雑が始まっている各地の空港やターミナル駅は、閑散としているという。
しかし、春節は1年に一度の中国のお正月であり、家族だんらんの場だ。この時期だけは何としても家族と過ごしたい、と思っている中国人は非常に多い。そのため、政府の「帰省自粛」があっても、11億人以上は移動をする。