感情のコンディションを整える

感情的にならないためには、自分自身の「感情のコンディション」を良好に保つ必要があります。その工夫や技術について考えてみましょう。

①先の「不安」はいまのあなたと無関係!

週末に友人と久しぶりに会う約束をした女性がいます。再会が楽しみでワクワクしていたのですが、ちょうど大きな台風が近づいているのが心配でした。

「買ったばかりのスーツを着てみたいけど、雨にぬらしたくないなあ」とか「帰りの電車が動かなくなったらイヤだなあ」などと考えるうちに、約束をキャンセルすべきか否かで悩み出してしまいました。でも、全然答えは出ません。

そこで友人に電話をしてみました。「土曜日、大丈夫かなあ。台風来るみたいだけど、どうしようか?」。そう問いかけると、「その日の様子で決めようよ」という返事。

それで彼女は納得しました。このとき電話をしたのは、水曜の夜のこと。3日後の台風の動きなんて、わかりっこありませんね。

あれこれ考え込むクセのある人は、自分の悩みや不安が「いまいちばん大きな問題」と受け止めがちです。この女性のように、「どうすればいいんだろう」と頭の中がそのことだけで占められてしまうのです。

「考えても答えが出てこない」「答えが出ないから、もっと考える」というのが、悩みグセのある人の典型的なパターンです。でも、先の女性の友人のように、「考えても答えが出ないから、考えない」という人がいます。

こういうタイプの人にとって「いまいちばん大きな問題」は、目の前の仕事や作業なのです。それらに優先順位をつけて、1つずつ片づけていきます。

いまの自分が優先しなければならないことはなにか、また、考えても答えの出ないことは「いまの自分には関係のないこと」だと知っているのです。

イヤな感情は「放っておく」

②「ともかく」動いてみる

自分の感情を明るく保つためには、イヤな感情を放っておけばいいのです。そのためには、別のものに関心を向けることが大事です。

まず心がけてほしいのは、「自分の気持ちと向き合わない」こと。感情を明るく保っている人は、いつも外を向いています。散歩に出れば街角の様子や季節の移り変わり、人と会えばその人とのおしゃべり、美味しいものを食べているときはその料理だけを見つめたり、味わったりできるのです。

ふだんの感情を明るく保つためにも、動くことをためらわない人であってください。動けばイヤでも気持ちが外に向きます。すると、仮にイヤな感情が残っていても、それを見つめる時間がなくなります。感情は放っておけば収まるのですから、動いているうちに気分がスッキリしてくるのです。

一方で、動きの鈍い人や腰の重い人は、「出かけるといっても、楽しいことなんかそうそうないし、疲れて帰ってくるだけじゃないか」。そういうことをつい考えてしまいます。

そこで気軽に動くためにも、ためらいが生まれたら「ともかく」と自分に言い聞かせてください。

「つまらないかもしれないけど、ともかく出かけてみるか」
「断られるかもしれないけど、ともかく電話だけはしてみるか」

迷ったら「ともかく」です。「ともかく」という行動パターンが身につくと、いまよりはるかに動くことをためらわないようになってきます。それが結局、明るい感情をつくってくれるのです。