ルールが「部下ごとに異なる」のはNG

ただし、ルールが部下ごとに異なるのはNGです。たとえば、「あなたは会議には来られるときだけでいいよ」や「あなたは日報を月末にまとめて出す人だよね」と、人によってそれぞれルールが違うような状況です。よかれと思ってこれをしてしまうと、組織への帰属意識は薄れます。

ルールは「全員が守れる範囲」で統一すべきです。共通のルールを守っていることイコール、その組織の一員であるという認識を持つことになります。

「部下からの反発」を乗り越えるには

実際に「姿勢のルール」を実行すると、どんな問題が起こるでしょう。ある人材会社では、次のようなことが起こりました。姿勢のルールとして、「あいさつをする」「時間厳守を徹底する」ということをリーダーが部下に伝えました。すると、

「そんなことは明文化しなくても、文化として作り上げていけることが私たちの会社の強みだ」

と、ネガティブな意見が出たそうです。新しいことをすると、必ず反発があります。人や組織は、これまでのやり方を続けるようにできています。だからこそ、感情を横に置く「リーダーの仮面」が大事になってきます。

先ほどのリーダーは、嫌われるかどうかを横に置き、「ルールはルールである」ということを部下たちに伝えて実行させました。できていないときは、「できていないから次から守るように」と指摘するようにしたそうです。すると、1カ月後には、

「あいさつはできているようでできていなかった」
「ルールができてから会社の雰囲気が良くなった」

と、好意的な意見に変わったそうです。リーダーには、この1カ月を耐えて、待つことが求められたのです。

先ほども述べたように、ルールはなんでもよいです。「独自のルールを設定する」というのもひとつのやり方です。

ちなみに、私の会社では、「上司が会議室に入ってきたら立つ」というルールがあります。会社の外でお客さんが待っていたら、「用件は伺っておりますか?」と聞くこともルールにしています。

「ルールを作って、守らせましょう」と言うと「そんなことをしたら、みんな会社を辞めちゃうかもしれない」「嫌われてしまうかもしれない」と心配する人もいます。そんな心理的なハードルを乗り越えて人間関係の悩みを生まないようにするのが、リーダーの仮面の本質です。もう少し掘り下げていきましょう。