「姿勢のルール」を守らせることができるか

次に、リーダーがすべきことを説明していきましょう。リーダーがやらなければいけないことは、「ルールを作り、それを守らせる」ということです。

ルールには大きく分けて2種類があります。「行動のルール」と「姿勢のルール」です。

まず、「行動のルール」とは「1日に10件営業回りをする」「会社に1000万円の利益をもたらす」といったルールです。これらは会社が設定した目標と連動したルールです。したがって、守れる場合と守れない場合があり、それによって部下は評価されます。

ここでは、後者の「姿勢のルール」について詳しく説明します。「姿勢のルール」とは、「できる・できない」が存在しないルールのことです。まさに姿勢が問われるルールなので、「姿勢のルール」と呼んでいます。

「あいさつをしましょう」
「会議には遅れず参加しましょう」
「日報を17時までに提出しましょう」

などが姿勢のルールにあたります。

これらには、「やろうと思えば、誰でも守ることができる」という特徴があります。姿勢のルールは、リーダーに対する姿勢を表すものです。

黒板に書かれたルール
写真=iStock.com/roberthyrons
※写真はイメージです

「できる・できない」が存在しないので、守らない人間は「意図的に守っていない」ことになります。姿勢のルールを徹底して守らせることが、組織のリーダーとしての一丁目一番地にあたります。これができない人にリーダーの資格はないのです。

ルールが「仲間意識」を生み出す

「姿勢のルール」を決めてそれを守らせるのには、大きなメリットがあります。それは、メンバーに「この輪の中にいるんだ」「この会社の一員なんだ」という認識を持たせられることです。

学生時代の友達グループを想像してみてください。自分たちの中で、「悪口は言わない」などの暗黙のルールをみんなが守っていれば、「こいつは仲間だな」と思ったはずです。逆に、その暗黙のルールを破るような人間が出てきたら、「こいつとは仲間で居続けるのは難しいな」と思ったはずです。

会社は学校ではありませんから、そのルールを「言語化」してシェアすることが必要です。口頭だけで伝えるのではなく、メールや共有ファイルなどで文章にし、いつでも見られるようにします。

ルールはそのチーム、組織ごとに違って構いません。極論を言えば、なんでもいい。「できる・できない」が存在しないルールを守らせる、ということが重要です。それにより、「上司と部下」「リーダーとメンバー」の関係をつくっていきます。

「姿勢のルール」がない組織では、組織に対する帰属意識が働きにくくなります。