就任式に「台湾代表」異例の出席
しかし、2018年11月の中間選挙で民主党が下院の過半数の議席を獲得した後も、トランプ政権の対中政策が停滞することはなかった。米議会の超党派の諮問機関である“米中経済安全保障調査委員会”が公表した2020年の報告書の中では、台湾を中国の圧力から守るために安全保障と経済の両面で関係を強化すべきとの提言が示された。
バイデン大統領の就任式に、駐米台北経済文化代表処の代表である蕭美琴氏が招かれたことも、同政権の対中強硬姿勢が前政権から大きく変わらないことを示唆する。
バイデン政権の閣僚(候補含む)の発言を確認すると、各政策分野での対中強硬姿勢が確認できる。商務長官候補のジーナ・レモンド氏は詳細には言及しなかったものの、中国の不公正な取引慣行に厳正に対処すると述べ、ファーウェイへの制裁を続ける考えも示唆した。
以上の内容をまとめると、バイデン政権の対中姿勢が前政権から緩むことはない。なお、米国の対中制裁関税がどう運営されるかは、今後の議論を確認する必要がある。
各国で中国包囲網が強まっている
米国の強硬な姿勢に対して、中国の共産党政権は党の指揮に基づいた経済運営の体制(国家資本主義体制)を強化して対抗しなければならない。特に、海外企業からの技術移転の重要性は一段と高まっている。
それは、ファーウェイの事業運営体制の変化から確認できる。2020年9月に米国は自国技術を用いた半導体がファーウェイに輸出(供給)されることを禁じた。その結果、ファーウェイの業績は悪化し、同社は生き残りのために格安スマホブランドの“Honor(オナー)”を売却し、旗艦ブランドである“Mate(メイト)”などの売却も検討している。それが示唆することは、半導体の製造技術面で中国の実力は低いということだ。
また、米国の制裁によって通信インフラからファーウェイ製品を排除する国が増えた。英国やフランスは5Gネットワークからファーウェイを排除することを決めている。経済面で対中関係を重視してきたドイツをはじめEU全体がファーウェイの通信機器の利用を厳格に審査しようとしている。