また特に女性では、美容のために日焼け止めや肌の露出の少ない衣類の着用などによるUVケアを徹底するようになってきたこと、さらに魚の摂取が少なくなっていることなどから、ビタミンD不足が深刻化してきています。

最近日本で行われた疫学調査によると、ビタミンD不足の割合は、年代を問わず70~90%にも達していたということです。さらにコロナ禍で外出を自粛している場合や、太陽からの紫外線が弱くなる冬場は、ビタミンDが不足している可能性が非常に高まっているのです。

摂取は食事と日光浴から

ビタミンDが欠乏しないようにするためには、日光浴とビタミンDが豊富に含まれる食品を摂ることが重要です。

ビタミンDは魚介類、卵、キノコなどに多く含まれます。牛乳などの乳製品にも多少含まれますが、野菜や肉類にはほとんど含まれていません。例えばビタミンDを10μg摂取するためには、魚であればサケ:半切れ、サンマ:1尾、カレイ:1切れ、マグロ:刺身15切れ、キノコ類なら乾キクラゲ:2.5g、干しシイタケ:65g、卵なら7個となります。

食事から十分量のビタミンDを摂取するのは難しい場合は、サプリメントの服用も有効です。欧米ではビタミンDのサプリメントを日常的に摂取することが、医者や政府からも推奨されています。1日のサプリメントによるビタミンDの摂取目安は、10~25μgです。ただしコロナ対策として科学者が推奨している摂取量は、1日100μgです(5)

ビタミンDは日光浴によって皮膚でつくりだすこともできる栄養素です。夏であれば、日焼け止めなしで日中に5分から10分、冬なら関東では20分から30分、北海道では1時間以上の日光浴が推奨されています。ただしガラス越しや日焼け止めを塗った場合は効果がなくなりますのでご注意ください。またこの目安の時間の2~3倍以上の紫外線を浴びてしまうと、シミやしわができやすくなり、発がんリスクが高まります。食事やサプリメントによる摂取と併せ、生活習慣に適度な日光浴を取り込むようにしましょう。

太陽の下で黄色い花がいっぱいの牧草地に寝ころびリラックスした人
写真=iStock.com/BrianAJackson
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とはいえ、日光浴という習慣は北欧諸国ならともかく、日本人には慣れない習慣だと思います。そこで、もっとも効率がいいのは、散歩やウォーキングの習慣を取り入れることです。

これなら、太陽の光を十分に浴びながら、肥満にならないようエネルギーを消費することもできるでしょう。