徴用工問題と慰安婦問題について態度を翻す発言

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が1月18日、新年の記者会見を開き、

徴用工問題と慰安婦問題について発言した。その内容がこれまでの態度を翻すものだったため波紋を広げている。

韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領が2021年1月18日、ソウルの青瓦台で地元や外国人記者とのオンライン新年記者会見
写真=AFP/時事通信フォト
2021年1月18日、韓国の文在寅(ムン・ジェイン)大統領はオンラインの新年記者会見を開いた。

徴用工問題については「日本企業の資産が現金化されるのは韓国と日本にとって好ましくない」として、初めて現金化を避けたいとの考えを示した。これまでは資産売却を許容する司法判断を尊重するとの意向を繰り返し表明していた。

また、韓国のソウル中央地裁が1月8日に元慰安婦に対する損害賠償を日本政府に命じた判決については、「徴用工問題に慰安婦判決の問題が加わり、困惑している」と話した。文在寅氏が慰安婦訴訟の判決について意見を述べたのは初めてだ。

これまでは慰安婦問題に関し、「最終的かつ不可逆的に解決される」とする2015年12月の日韓合意を否定し、「当事者の意思を反映していない」としてきた。しかし今回、文在寅氏は「韓国政府は日韓合意を公式的なものだったと認める。そのうえで元慰安婦ら原告も同意できる解決策を見出したい」との考えを示した。

文在寅氏は東京五輪を米朝対話の舞台にしようと画策している

沙鴎一歩は今年1月15日の記事「『元慰安婦に950万円ずつ払え』歪んだ判決を尊重する文在寅大統領の異常」で、「文在寅という大統領は反日種族主義の権化であり、大統領失格だ」と主張した。ところが、である。1月18日の新年の記者会見で自らの考えや態度を翻した。

唐突に考えや態度を変える人間は信頼できない。またもとに戻る可能性があるからだ。「君子豹変する」ということわざもあるが、文在寅氏は君子などではない。態度を変えたその裏にはしたたかな計算や思惑があるはずだ。

文在寅大統領はなぜ、自らの考えや態度を豹変させたのか。それを解くカギは東京五輪にある。昨年12月14日の記事「駐日大使に『反日のかたまり』を送り込んでくる文在寅大統領の頭の中」では、産経新聞の社説(主張)に触れ、「文在寅氏が東京五輪をアメリカと北朝鮮との対話の舞台にしようと画策している」と指摘した。

産経社説がそう判断する根拠について、産経社説を引用して、「韓国メディアによると、11月に来日した朴智元(パク・チウォン)国家情報院長は『東京五輪に金正恩朝鮮労働党委員長を招き、南北と米日首脳が北朝鮮の核問題や日本人拉致問題の解決策を議論する』という文氏の提案を日本側に説明した」と書いた。

そのときも訴えたが、日本を侮辱し、核・ミサイルの開発や拉致などの犯罪行為の数々を尽くした北朝鮮トップの金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記を、東京五輪に招くべきではない。