「ピンと来た」ファシリテーター役

プロジェクト・デザイナーは、サポート先の団体と、社会人メンバーの間に立ち、プロジェクトが円滑に進むように支援するファシリテーターの役割を担う。

「すごく、ピンと来た」と竹田さんは言う。

二枚目の名刺は、社会課題の解決を目指す団体と、「力になりたい」という想いを持つ社会人をつなぐ“中間支援団体”だ。「社会にはいろいろな課題があります。できるだけ多くの人が、社会課題に気づき、興味を持ち、そしてそれを解決するための活動に参加できるようサポートする中間支援団体こそが、私が軸足を置くべき場所なんじゃないかと思いました」

また、プロジェクト・デザイナーという立場も、竹田さんの関心や指向とマッチしていた。「プロジェクト・デザイナーは、役割は決まっているものの、やり方は決まっておらず、それぞれに任されています。私が過去にチームメンバーとして参加したプロジェクトでは、チームメンバーと一緒に手を動かすタイプの人もいました。私は、ファシリテーターに徹しようと思いました」

スキルも価値観も違うメンバーでチームを作る

担当の団体は、“子どもがその子らしく成長できる未来”のために、手や足に障がいのある子どもやその家族をサポートする、一般社団法人ハビリスジャパン。2020年7月から約3カ月にわたるプロジェクトだった。

オンラインで進められたハビリスジャパンのプロジェクト。上段左から2人目が竹田さん(写真=本人提供)
オンラインで進められたハビリスジャパンのプロジェクト。上段左から2人目が竹田さん(写真=本人提供)

最初にプロジェクト・デザイナーの立ち位置や役割を明確化し、チームのメンバーにも説明しました。『取り組む課題やゴールを決めるなどの意思決定を行い、手を動かすのはあくまでもみなさんです。私はファシリテーターとして、チームが脇道に逸れたり立ち止まったりしそうなときに、問いを投げかけて、チームが自走できる環境づくりに徹します』と」

しかし、年齢、業種、職種も違う12人が集まるチームだ。「これまでの経験も、スキルも価値観も違う人が集まっているので、まずは『何を実現したいか』という意識を合わせる必要があります。それぞれ、“1枚目の名刺”(本業)の仕事やプライベートが忙しい中、限られた期間での活動だからこそ、チームビルディングが重要。『ゴールを共有できていること』『みんながいるから頑張れる、と思えるチームであること』の、どちらが欠けても、成果を上げることは難しいですから」