鼻うがいは家族への感染を3割減少させる
鼻うがいはさまざまな病気の予防や改善に役立ちます。特に、風邪の治療に関しては、いくつもの医学的に信頼度の高い研究報告があります。
2019年にイギリスで行われた研究では、「のど風邪」や「鼻風邪」にかかった人を対象として、発症後48時間以内に鼻うがいを開始。最初の2日間は1日6回行い、その後も回数を減らしながら鼻うがいを続けました。
その結果、鼻うがいをした人は、しなかった人よりも体内からウイルスがいなくなる時期が早まり、風邪の期間は22%短縮され、薬の使用は36%減少し、家族への感染も35%減少したのです。
鼻うがいはアレルギー性鼻炎や花粉症の症状も軽減します。これらの疾患では、モーニングアタックといって、朝起き抜けにくしゃみや鼻水などの鼻炎症状がよく現れます。鼻の入り口付近に付着したハウスダストやスギ花粉などが、夜通し鼻粘膜を刺激することが原因です。
就寝前に、鼻うがいで鼻粘膜を洗浄することによって、鼻粘膜に付着したハウスダストや花粉などの抗原(アレルゲン)を除去できて、炎症を抑えられます。
スギ花粉は例年、1~2月頃から飛散し始めるため、これからの時期は花粉症で辛い思いをする人が多くなります。夜寝る前のタイミングで鼻うがいを行えば、症状の軽減が期待できます。
食塩さえあれば鼻うがいは痛くなくなる
「鼻うがい」を行えば、ウイルスや細菌などに常に接している鼻の奥の上咽頭をきれいに洗い流すことができます。ところが、昔から風邪やインフルエンザの予防法として慣れ親しんできた「ガラガラ口うがい」に比べると、「鼻うがい」はあまり馴染みがないため、ためらう人もいるようです。
また、子どもの頃にプールに入って鼻に水が入ってツンとした経験から、「鼻に水を入れる鼻うがいは痛いのではないか」と誤解しているケースも多く見受けられます。けれど、台所に常備されている「あるモノ」を使えば、簡単に「痛くない鼻うがい」ができるのです。それは何でしょうか。
「痛くない鼻うがい」に必要なもの、それは家庭にある「食塩」です。人の体液とほぼ同じ濃度の「食塩水」を作れば鼻に入れても痛く感じません。これは涙や鼻水が出ても痛くないのと同じことです。真水ではなく体液と同じ濃度の食塩水を使うことで、安心して快適な「鼻うがい」ができます。痛くない食塩水の作り方は、本書で詳しく紹介しています。