「のど風邪」には鼻うがいが効果的

風邪をひいて「唾を飲み込むとのどが痛い」とき、痛みを感じるのは中咽頭から下咽頭にかけての部分です。そこで医師が口から綿棒を入れて、中咽頭から下咽頭にかけてあちこち触れても、患者が痛いと感じる部位は見つかりません。

ところが綿棒を上咽頭に入れたとたん、「あっ、そこ!」というように、痛みの本丸に行き当たることが多いのです。このように、痛みの原因である炎症を起こしている部位と、実際に痛みを感じる部位が違う現象を「関連痛」といいます。関連痛は上咽頭で起こる炎症の特徴だといえます。

「のど風邪」をひいたら、上咽頭の炎症がひどくならないうちに治すことが重要だといえます。そのときに有効なのが「鼻うがい」です。新型コロナウイルス感染症の対策に通じるであろう「鼻うがいによる風邪予防」で、「上咽頭」は重要なキーワードなのです。

鼻うがいなら新型コロナウイルスも洗い流せる

新型コロナウイルス感染症は、普通の「のど風邪」と同じように、初期症状としてのどの痛みや発熱、頭痛が現れることが多いです。人の体内に新型コロナウイルスが入ってから発症するまでの時間(潜伏期)は、4~5日といわれています。ウイルスの量は発症前後が一番多いという報告があり、その期間にウイルスを除去すれば感染を予防できると考えられます。

新型コロナウイルスが多く付着しているのは上咽頭です。このことは、新型コロナウイルスへの感染を調べる「PCR検査」が、鼻から綿棒を入れて、鼻の奥の上咽頭の粘膜をこすって検体を採取することからも分かります。

けれど、以前から風邪やインフルエンザ予防として行われてきた「ガラガラ口うがい」で洗い流せるは、口の中と口の奥の中咽頭だけです。

新型コロナウイルスが多く付着している上咽頭を洗うことはできないのです。それでは、運悪く他人のくしゃみや咳の飛沫を吸い込んだり、換気の悪い場所で長時間過ごしたりして、新型コロナウイルスが上咽頭に付着した可能性があるときは、どうしたらいいでしょうか。

そんなときにも、まだ打つ手はあります。それが「鼻うがい」です。鼻うがいなら、新型コロナウイルスが多く付着している上咽頭を洗い流すことができます。