想定外の出来事が起きたり、嫌な知らせがきたりしたときには、「この言葉をいう」と決めておけば、無意識にしてしまうネガティブな反応を防ぐことができます。「準備」をしておくことで、必要以上にものごとをネガティブにとらえなくて済むのです。

逆にこのルールがなければ、ネガティブな感情に支配されて、雪だるま式に不安な気持ちが大きくなってしまうこともあるので要注意です。

手痛い失敗をしても「ツイてる!」

不安を感じたとき、あなたは第一声でどんな言葉を発していますか?

「どうしよう」「マズイな」「マジで⁉」でしょうか? 基本的には、どんな不安な問題や、突発的な出来事が起きたとしても、その状況の「いい部分を探そうと思える言葉」を発するのがベストです。

これは、心理学で「リフレーミング」と呼ばれる、ものごとを見る視点を言葉の力で変える方法です。

私の場合は、いつも「ツイてる!」ということをルールにしています。なにか手痛い失敗をしても、「いや、ツイてるな」というのが習慣になっています。そうしていると、なぜツイてるのか、脳が自動的に考えてくれるのです。これは怪しい自己啓発やスピリチュアルの話ではなく、科学的な事実です。

ほかには、「やったね!」でもいいし、「どうにかなるでしょ」でもいいですね。このように、ものごとのいい部分を探す言葉を第一声のルールにしておけば、不安があっても前向きに対処していく気持ちが生まれます。

逆に不安と並走してしまうと、せっかく行動していても、「そうはいってもね」「たぶんダメな気がする」などと、ずっと不安なことばかり考えてしまい、その感情から抜けられなくなってしまいます。

第一声で、状況のとらえ方を一変させてしまいましょう。

青い海にかざした四つ葉のクローバー
写真=iStock.com/Kateryna Kovarzh
※写真はイメージです

「いい言葉」を使う人が得をする

「いい部分」を探せる言葉を第一声として習慣にするには、とにかくトレーニングするに尽きます。私も、あるときから、なにが起きても「ツイてる!」と口から出てくるようにしようと決めました。

ただ、「ツイてる」という言葉を、そもそも言い慣れていません。そこで、毎日40分言い続けるトレーニングを、1カ月続けました。なにも考えなくても、反射的に出てくるレベルにしたいと考えたからです。ちょうど朝の準備にかかる時間が40分だったので、出かける準備をしているあいだ、ずっと「ツイてる、ツイてる……」というようにしました。

あるとき、セミナー当日の朝、寝ぼけて右足の小指をベッドに思いきりぶつけ、小指の爪が剥がれてしまったことがありました。ふつうは「痛い!」「くそ!」という場面です。

ところが、なんと「ツイてる!」という言葉が自然に出てきたのです。すると不思議なもので、その理由を探してしまいます。「骨折しなくてよかった」「目覚めるのが早かったな」と、突発的な出来事にも動じなくなりました。