「DXのためのDX」という罠にはまるな
デジタル庁ではAI人材やIT人材の育成も大きなアジェンダの一つとして掲げていますが、こちらも具体的なところが伝わってきていないと感じます。
例えば、先ほどの米国CTOが担当するSTEM教育(※)の推進に関しては、以下のようにまとめられています。
※Science(科学)、Technology(技術)、Engineering(工学)、Mathematics(数学)の頭文字をとったアメリカ発祥の造語。
①STEMリテラシーの強力な基礎を作ること
②STEM教育におけるダイバーシティとインクルージョンを高めること
③将来のSTEM教育を担う教員などのワークフォースの準備をすること
かつその目的に到達するために必要な道のり、その道のりを実現するためのオブジェクティブが各省庁ごとに記載されています。
デジタル庁に期待したいことは、「DXのためのDX」という罠にはまらずに「なんのためのDXなのか」「どんな課題解決のためのデジタル化なのか」を活用事例レベルで明確にして目的を定義づけることです。
そして、各省庁がその目的達成のために何をしなければいけないのか、オブジェクティブを明確にして連携体制を作らないと、何億円、何十億円もかけて各省庁や公共団体のシステム統合をしたはいいけれども国民の生活の質は変わらない、という本末転倒なことにもなりかねません。
課題は山積みではありますが、アメリカや台湾、シンガポールやエストニアなどのデジタル国家としての戦略作りが進んでいる国を参考にできるというメリットもあります。これを機に日本ならではのデジタル国家の強みが明確に定義づけられることに期待しています。