「エレベーターで舌打ちをされたこともある」

これまで幾度となく、タワマン・コミュニティでは、居住する階数によって地位が決まる「階数ヒエラルキー」が存在するといわれてきた。しかし、コロナ禍のタワマンでのエレベーター利用を巡っては、そうした格差がより鮮明になったようだ。品川区内のタワーマンションに住む30代の主婦の話。

「ウチのマンションは18階までしか行かない低層階用エレベーターと、それ以上にしか行かない高層階用エレベーターの2台に分かれている。ウチは4階なので、低層階用エレベーターです。以前は、高層階住人から見下される立場として、低層階住民にはちょっとした連帯感があったんです。しかし、3密が嫌われる現在は、低層階用エレベーターの利用者の間で『5階くらいまでの人は階段を使え』という雰囲気が漂っている。上階から来たエレベーターに4階から乗り込むと、舌打ちをされたこともあります」

現在は、なるべく階段を使っているという彼女だが、そこでもこんな問題が……。

「高層マンションのなかでは4階というと低層ですが、毎回階段で上り下りするとなると、かなり大変です。それに、緊急事態宣言以降、共用施設のジムが閉鎖になっているので、トレーニング代わりに階段を上り下りしているおじさんたちが結構いるんです。ただでさえ階段は換気も悪いのに、正直迷惑です。ちなみにウチの真上の階にいる子なし夫婦も昼間から部屋でエクササイズしているみたいで、ドスンドスンとうるさくて仕方ないですよ」

「EV内密室のためマスク等のご配慮をお願いいたします」の張り紙
提供=扶桑社
エレベーターは住人同士が接触するだけにトラブルのもとになりやすいようだ……

「共用施設が使えないタワマンなんて、刑務所や病棟と変わらない」

緊急事態宣言以降、首都圏の多くのタワマンではジム以外にも温浴施設、ラウンジなどといった共用施設を閉鎖してきた。

これについて、「共用施設が使えなければ、タワマンなんて刑務所や病棟と変わらない」と話すのは、江東区有明のタワマンの賃貸物件に住む30代の男性会社員だ。

「ウチの会社では4月から2カ月間リモートワークだったのですが、緊急事態宣言が発令されてからは、リモートワーカーが増えたせいでネット回線が混雑してつながりにくくなり、仕事になりませんでした。徒歩圏で食材の調達ができるのは、マンション1階にあるスーパーが唯一の場所だったのですが、肉や冷凍食品はずっと品薄状態。トイレットペーパーの争奪戦も起きていました。

共用施設がすべて閉鎖されているので、気晴らしといえばマンション敷地内の遊歩道を歩くくらい。しかしそこも、休校になったガキどもが溢れ、無秩序に暴れていたりする。何人か叱り飛ばしてやりましたけどね。おそらく、親も子供といる時間が長くなりすぎて疲れているのか、ほったらかしなんですよ」