新型コロナウイルスの感染拡大は、タワーマンションという住まいにどんな影響を及ぼしたのか。タワマン住民の声を拾った週刊SPA!編集部のリポートを紹介しよう――。

※本稿は、榊淳司『激震!「コロナと不動産」 価値が出るエリア、半額になる物件』(扶桑社新書)の一部を再編集したものです。

閉じたブラインドの隙間からあたりを覗く緊張した女性
写真=iStock.com/RapidEye
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マスクをしないとネットの掲示板でさらされる

新型コロナウイルスの発生源を巡る米中対立や、さらに国内を見渡せば自粛警察や県外者狩りなど、パンデミックは社会にさまざまな分断をもたらした。それはまた“天上世界”でも例外ではない。

ステイホームの呼びかけによって、巣ごもりの拠点となった超高層タワーマンションの住民たちの間にも大きな軋轢が生じていた。

特に3密になりやすいエレベーターは、摩擦の温床であるという。江東区東雲のタワマンで子育て中の40代男性は明かす。

「緊急事態宣言以降、ウチのマンションの管理組合は、3密防止のために『エレベーターの相乗りは原則5人まで』という努力目標を出した。しかし、ステイホームでマンション内の人口が増えているし、食材の買い出しやら気分転換の散歩やらで、外出自粛とはいえ皆、けっこう出入りは頻繁だった。

そのうえ、小分けになって乗るからエレベーターが全然来ない。私も基本的にはこの努力目標を守っていたんですが、急いでいる時に、仕方なくすでに5人乗っているエレベーターに押し入ったら、小池百合子みたいなおばさんに『密です!』と叱責されたこともある。

うちは中層階に住んでいるので、下階行きのエレベーターを呼んでも、すでに先客で満員ということが多く、理不尽な気もしますが反論はしません。またネット上のマンションごとの住民専用掲示板で、『○階に住んでる会社員風の男はエレベーターでマスクしていなかった』などとさらされたりする。完全な相互監視社会で、本当に怖いです」