2021年も「乖離」は放置されざるを得ない
だが、繰り返しになるが現下の悲惨な運用環境において「株くらいしか買うものがない」という事実は大きく変わりようがないため、2021年も結局は「株が上昇した」という着地で終わる可能性は高い。
インフレ期待が示唆するように、実体経済に即した名目金利の上昇はある程度容認されるだろうが、基本的にFF金利は「2023年末までゼロ」で約束されている。世界の資本コストであるFF金利がゼロで固定される中、株価が崩れ続けることは考えにくい(なお、そのような状況が健全かどうかは全く別の話である)。
一方で、そのような株価の騰勢と実体経済の現状そして展望はあまり関係がないというニューノーマルの存在も忘れるべきではない。「株価と実体経済の乖離」を指差してそれがバブルか否かという議論をしても詮無きことである。というのも、仮にバブルと断定できても、パンデミックの最中、「バブルだから潰せ」という政策判断ができるわけがない。
2021年も「株価と実体経済の乖離」は放置されざるを得ず、市場参加者としては、これをニューノーマルと割り切ることで巧く立ち回るしかないのだと思われる(2020年12月22日時点の分析)。