商品やサービスは、何もしなければ陳腐化します。いつでも同じ、では顧客は飽きて離れていき、ライバルがよりよい製品を出してきたら、売上を奪われてしまいます。

また、従業員にもしっかり還元することが大事です。しっかり報酬を支払われていると感じられなければ、ライバル会社へと転職してしまうかもしれません。

投資というと、機械を購入する、工場を建てるといった大きなものをイメージされる方が多いですが、人材採用・育成、新商品開発、広告宣伝、顧客維持、新規出店などもすべて投資です。

また、従業員の昇給・賞与、福利厚生の充実など「明日の売上に貢献する」ものはすべて投資です。その点で言えば、役員報酬は「明日の売上につながる」ものでは全くありません。

利益は「借入総額の1%程度の法人税を払うくらい」にする

節税に固執しても会社は決して成長しない

まずは投資を「回収見込みが決まっている投資」と「見込みが決まっていない投資」の2種類に分類します。

回収見込みが決まっている投資とは、それまで借りていた機械など設備を購入する、賃貸のオフィスや工場を買い取って自己所有とするなどが該当します。リースしていた機械を買うためのお金を銀行から借りた場合は、今後支払わなくて良くなる賃料に該当する額を借入金の返済に充てることが可能です。

そのように考えると「自己所有する前に払っていた賃料×投資資産の耐用年数」までが利益に対してノーリスクでできる投資と言えます。回収見込みが決まっている投資の計算は、このように簡単です。ただし条件として、投資は全額借入で行います。

回収見込みが決まっていない投資とは、接待交際費、広告宣伝費、研究開発費などです。売上と直接の因果関係が薄く、その分その範囲は広くなっています。

この場合は、まずキャッシュ・フロー計算書の営業キャッシュ・フローを確認します。営業キャッシュ・フローから1年以内の借入返済予定額を差し引いたものが、いわば「冒険に使える資金」です。

この資金と今期の利益予想を比べて、予想利益の範囲内であれば赤字になることはありません。これが回収見込みの決まっていない投資の限度額です。

このような形で投資を分類、実行していくのです。

しっかり法人税を支払い、それ以上の利益が出るならば金額の限度を見ながら明日の売上につながるための投資に回す、そのような形が会社の成長につながっていきます。

※本稿は、船井総合研究所が展開する経営者向けメディア『社長online』から転載したものです。

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