「不向きなこと」から逃げない

1つめは、「不向きなこと」から逃げない点です。

実は、「得意なこと」よりも「不向きなこと」のほうに、可能性が詰まっています。

たとえば、あなたが「いじられキャラ」だったとしましょう。そのキャラクターを活かし、相手の懐に飛び込んでうまく仕事を進めるやり方が自分の強みだと考えているとします。

ところが、今回仕事で一緒になったメンバーの中に、同じ強みを持つ人がいました。いつもならあなたが受け持つ役回りを、今回はすべてその人が担っています。

あなたは自分が思っている長所を活かせず、その場にいづらい気持ちになるかもしれません。「自分は必要ないのではないか」などと思い込んでしまうことも考えられます。

そんなときこそ、思い込みのフタを外すチャンスだと捉えてください。

あなたが人の懐に飛び込むのが得意ないじられキャラで、それが強みだったとしても、全体を見れば、仕事を進めるうえで必要なタスクは他にもありますよね。

冷静に相手の言い分や状況を整理してまとめたり、スケジュールを組み立てたりする役割も必要なはず。話が盛り上がりすぎたとき、本題に話を戻す存在も不可欠です。

「自分はこの場に必要ないのではないか」と思い込む前に、落ち着いて状況を俯瞰するのです。「役に立てること」「貢献できること」は、意外とたくさんあるはずです。

「その場に何が必要か」を見極め、その中から自分ができることを率先して行うこと。それが、あなたのまだ見ぬ可能性を伸ばすことにつながります。

自分の長所を活かす必要がないときは、別の役回りができないか考えてみる。この柔軟な発想が、眠っている能力の発揮につながります。

『潜在能力を100%発揮する方法』(KADOKAWA)より
潜在能力を100%発揮する方法』(KADOKAWA)より

キャリアの8割は偶発的なことで決まる

スタンフォード大学の教育心理学者、キャリア論専門家であるジョン・D・クランボルツ教授の提唱する「計画的偶発性理論」では、「個人のキャリアの8割は予想しない偶発的なことによって決定される」と発表されています。

この言葉を借りれば、個人のキャリアは、予期しない出来事の積み重ねで作られることになります。

この考え方は、「短所」にも応用できます。

上司から頼まれた仕事が自分の苦手分野だと、つい「苦手なのでやりたくありません」「できません」と答えたり、口には出さなくとも「やりたくないな」と想像したりしていないでしょうか。しかし、頼まれたことを苦手だと即断することで、チャンスを逃しているかもしれません。