人口は「男余り」なのに婚活現場は「女余り」の現実

そもそも、日本において20~50代の未婚男女の人口を比べると300万人以上も「男余り」となっています。これは、出生の男女比によるものです。毎年5%ほど女児より男児のほうが多く生まれます。男児は乳幼児段階で死亡しやすかったこともあり、かつてはそれでも成人の男女比は半々に落ち着いていました。医療の発達によって、乳幼児死亡率が低くなると、結果として「男余り」になります。これは日本だけではなく、世界中の先進国で同様で起きている現象です。

さて、300万人も「男余り」なのであれば、女性の婚活は楽なのでは? と思うかもしれませんが、婚活の現場では、むしろ逆転現象が起きています。婚活パーティーなどでは、「男性参加者が少なくて、単なる女子会になってしまう」などという声もよく聞かれます。

レストランでのパーティー
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この原因について、詳しくは拙著『結婚滅亡』においてさまざまなデータとともに解説していますが、原因のひとつを簡単に言えば、男女で「結婚したい」という結婚前向き度が、男性4割に対して女性5割と10ポイントの差があるからです。その10ポイントが300万人の人口差のアドバンテージを帳消しにしてしまいます。年収条件云々以前に、結婚に前向きな未婚男性の絶対人口がそもそも少ないという現実は把握しておくべきでしょう。

「アプリなら簡単に相手が見つかる」の間違い

しかし、だからといって婚活男性に有利かというと、それも違います。

かつてのお見合いや職場縁を代替えする結婚のお膳立てサービスとして、最近婚活アプリなどのマッチングサービスが注目されていますが、あれで「相手を見つけられるだろう」などと考えている婚活男性がいるとしたら、それは認識を改めたほうがよいでしょう。もちろん、相手とマッチングできる男性は存在します。しかし、それは「あなたではない」可能性が高いのです。そのカラクリをご説明します。

まず、マッチングサービス市場は急成長を遂げているといわれます。サイバーエージェント子会社のマッチングエージェントによれば、日本国内の婚活・恋活マッチングサービス(婚活アプリ)の市場規模推移は、2017年258億円から2019年510億円へと2倍に成長しています。さらに、今後の市場予測では、2025年には1060億円に達する見込みと発表しています。

しかし、マッチングサービスの売り上げが、2017年から2019年にかけて2倍になったとしても、肝心の初婚数は、2017年44万5672組から、2019年43万8912組と、増えるどころかむしろ減っています。果たして、これは婚活に寄与したといえるのでしょうか?

確かに、以前と比べてマッチングサービスの利用率は増えているかもしれません。しかし、問題は、どんな人がどんな目的でそれを利用しているか、です。