アンケートで分かった男女の大きな違い

僕が実施した2020年調査(1都3県20~30代未婚男女 n6054)によれば、20~30代でのマッチングサービス利用率は、男性27%、女性38%でした。これらの男女利用者は、当然結婚意欲は全体平均と比べれば高いのですが、さりとて、全員が「結婚相手探し」という目的で利用しているわけではありません。さらに、興味深いのは、マッチングサービスの利用者=自力で恋愛できない恋愛弱者でもないということです。

グラフは、マッチングアプリ利用経験者と全体平均との差を表したものです。右側に棒グラフが伸びているのは、アプリ利用者のほうが多い、左側に伸びているのは全体平均のほうが多いことを意味します。

マッチングサービス利用者の特性は男女で差がある

一目瞭然ですが、「結婚に前向き」以外は、男女で正反対になります。男性は、マッチングサービス利用者のほうが、全体平均より「恋愛に自信がある」「恋愛に対して能動的」「浮気をしたことがある」「自分の容姿に自信がある」率が高いのです。まさに、恋愛強者男性と言えます。

対して、マッチングサービスを利用する未婚女性は、全体平均と比べて「恋愛に自信がない」「恋愛に対して受動的」「自分の容姿に自信がない」女性が多く、男性と比べて「自己肯定感が低い」女性が多いことも特徴です。

つまり、マッチングサービスを利用するのは、主に「恋愛強者男性と恋愛弱者女性」であるということが分かります。

一部の男性による「勝者総取りパターン」が起きている

これがどういう結果を生むかといえば、一部の恋愛強者男性による勝者総取りパターンとなるわけです。言葉を選ばずに言えば、「今まであまり恋愛経験のない、結婚相手を探す婚活女性たち」という獲物を求めて、肉食の恋愛強者男性(既婚の不倫目的も含む)が自由に行動できる刈り取り場となっている可能性があります。

中には、そもそも恋愛経験の少ない恋愛弱者男性も、真剣に結婚相手を求めてこのサービスを利用している男性もいることでしょう。しかし、そうした「控えめな誠実さ」は、恋愛強者男性たちが放つ「魅力的な能動性の光」の前に埋没し、いたずらに課金だけを重ねていくという結果になりかねません。どこの誰かも分からない恋愛強者の快楽のセックスのために、恋愛弱者はお金を払っているとも言えるのです。

現状のマッチングサービスが、かつてのお見合いや職場縁の代替え機能を果たすことはなく、単純に自力恋愛できる猛者たちの活躍のフィールドが拡張したにすぎません。これで、日本の非婚化が解消されることはまずないでしょう。