「年200億円台」の支援を得ても、すぐに底をつく

6月にJR東日本の元常務からJR北海道の会長に転じた田浦芳孝氏は「年200億円の国の支援法は継続していただきたい。コロナ禍によって鉄道事業は200億~300億円減収になる。コストダウンを進めてもカバーしきれず、減収分はそのまま赤字になる」と窮状を訴える。

岩見沢駅のローカル列車
写真=iStock.com/Takashi Nakano
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だが、コロナ禍で他の鉄道会社や航空会社も軒並み業績が悪化している。JRを所管する国土交通省は「JR北海道にだけ大幅な支援上積みはできない」と厳しい見方を示す。

何とか従来の「年200億円台」の支援を得てもコロナ感染が再び猛威を見せ始める中、「鉄道事業の低迷はさらに続くため、その資金もすぐに底をつく」(大手証券アナリスト)と手厳しい。

同じ状況下にあるのがJR四国だ。

「鉄道局と協議中だが正直、煮詰まっていない。新たな設備投資の資金をお願いしたい」

JR四国の西牧世博社長は11月30日の定例記者会見で、苦しい胸の内を吐露した。

同社は3月下旬、今期を最終年度とする事業計画を下方修正。3億円の経常黒字の達成は困難で、12億円の経常赤字に陥るとの見通しを公表した。

JR四国の最終損益は53億円の赤字

これを受け国交省は、JR四国に対し、四半期ごとの決算を開示して経営指標を検証することなどを求めていた。

それによると、売上高にあたる営業収益は前年同期比63%減の44億円だった。6割強を占める運輸業(バスを含む)が、同63%減の28億円に落ち込んだことが響いた。ホテルの稼働率や単価も低下。ホテル業の売上高は、同85%減の2億円にとどまった。

JR四国はこれまで4~6月期の決算をまとめていなかったため過去との比較は困難としているが、76億円の営業赤字は「おそらく過去最低の数字」(財務部)と話す。

JR四国は国の支援措置である経営安定基金の運用益を「営業外損益」に計上している。これまで本業の営業赤字を補填していたが、4~6月期は補いきれず48億円の経常赤字(前年同期は4億円の黒字)に転落した。

今年度上半期の決算も鉄道やホテル事業の利用者が減ったことが響き、最終損益は53億円の赤字(前年同期は12億円の黒字)だった。