東急の豪華観光列車が北海道で運行開始
JR北海道や四国の危機をどう乗り越えるか。政権内でもコロナによる経営への追い打ちが激しくなる中、「国鉄民営化から30年以上経過した。再見直しが必要なのではないか」(自民党幹部)との議論が出始めた。
要は「地域旅客6社・貨物1社」体制の見直しだ。
実質的にJR北海道は、JR東日本から3代続けて会長を送り込むなど、役員の受け入れ以外にもさまざまな支援を得ている。
その一つがJR東日本、東京急行電鉄、JR貨物による「観光支援プロジェクト」だ。JR北海道がJR東日本の車両を借り受け、北海道北部での観光列車の運行を昨年夏から始めた。
この夏には東急の豪華観光列車「ザ・ロイヤルエクスプレス」を東急が北海道東部で運行を開始した。「東急は都心の路線での乗り入れでつながりの深いJR東日本が連れてきた」(JR東日本幹部)。
このプロジェクトは2018年9月に発生した北海道胆振東部地震への復興支援の一環としての位置づけだったが「今後のJR北海道や四国の再編問題に大きな示唆を与えるものだ」(自民党幹部)との声も多い。
その自民党幹部は、「JR四国もJR西日本や九州との統合などを考えれば、救済の手だてはある」と、言葉を継いでいる。
統合が現実化すれば、インバウンド戦略にもプラス
鉄道事業だけではない。旅行業もJTBはJR東日本が、日本旅行はJR西日本が筆頭株主だ。「コロナで経営が厳しい旅行業界も併せて動員すれば、将来のインバウンド戦略など立てやすくなる」と国交省幹部は話す。
同じ中曽根元首相は電電公社の民営化も進めた。そのNTTはドコモを吸収し、さらには「旧電電ファミリー」の一員だったNECと資本提携に踏み切った。その狙いは米アマゾン・ドット・コムなどGAFAへの対抗にあるが、人口減少やコロナ渦で普及し始めた「リモートワーク」など、JR各社は運送客数の減少にさらされている。
小手先の営業費用のカットなどではなく、赤字路線の廃止で財務の悪化に歯止めをかけ、さらに再編で収益基盤を強化する。
JR再編の必要性は日ごとに高まっている。