「仕事ができないヤツだと思われる」心配もない

昭和のオジサンたちにとっては、そういうものに参加するのは、当たり前だったから。誰も、そう信じて疑わなかったから。しかし、若い人たちは、「それはおかしい」と声を上げたわけです。

ということで、若い人たちは、こうした強制的な飲み会から逃れられたわけですが、ちょっと上の世代、30代や40代はまだ昭和の香りが残っていたりして、若い人たちほど大胆には動けませんでした。

やっぱり行かないといけないんじゃないか、仕事ができないヤツだと思われてしまうのではないか、会社内で浮いてしまうのではないか……。そんな強迫観念の下に生きていたのです。

オフィスでの業務提携会議
写真=iStock.com/seb_ra
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ところが、これがコロナのおかげでリセットされました。もう飲み会には、堂々と行かなくて済むようになったのです。誘われたとしても、コロナがちょっと心配なので、とコロナを理由に断ることができる。ここでも、つながりたくない人とは、つながらなくて済むようになったのです。

新型コロナが引き起こした地殻変動

会社のコミュニティというのは、自分から進んで得たいと思って得たコミュニティではありません。たまたま入った会社があって、そこに集う人たちがいたり、その部署に配属になったりして、そのコミュニティにたまたま参加しただけ。

言ってみれば、これは消極的に参加したコミュニティです。どうしても自分が参加したいと、自分で望んで加わったコミュニティではなく、たまたま偶然に入ることになったコミュニティに過ぎないわけです。

コロナがもたらしたのは、こうした消極的コミュニティに関わらなくて済むようになったということ。とはいえ、どのコミュニティにも属さず、孤独なままで生きていく、というのも簡単なことではありません。

そこで何が起きていたのかというと、会社のような消極的なコミュニティではなく、自分から積極的に関わりたいと思うコミュニティに、自ら飛び込んでいくという動きが起きていたのです。

消極的コミュニティに関わる必要がなくなった分、自分もどこのコミュニティにも所属しなくてよくなった。だから、積極的コミュニティともいうべきものを、みんなが見つけようとしたのです。

レストランにも同じ現象が起きている

例えば、SNSのコミュニティもその1つかもしれませんし、オンラインサロンもその1つでしょう。私自身もオンラインサロンをスタートしたわけですが、コロナ禍の中で、会員数を爆発的に増やしたサロンは実は少なくありません。

消極的に関わってきた会社のコミュニティではなく、積極的に関わってみたいと思うコミュニティへと、多くの人が流れていったのです。